万博・アンゴラ館で無許可工事か 建設会社社長ら書類送検 大阪府警

2025/09/26 10:00 

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 大阪・関西万博のパビリオン建設工事を無許可で請け負ったとして、大阪府警は26日、アンゴラパビリオンの工事を受注した大阪市内の建設会社の男性社長(48)と従業員ら計4人を建設業法違反(無許可営業)の疑いで書類送検した。

 社長らは許可が必要なことを把握していたとみられる。府警は手続きをせずに工事を進めた点などから悪質性が高いと判断し、起訴を求める厳重処分の意見を付けた。

 府警生活経済課によると、書類送検されたのは、大阪市鶴見区の建設会社「一六八(いろは)建設」の男性社長と、経理担当だった男性(50)ら従業員3人。建設業法の両罰規定を適用して法人としての一六八建設も書類送検した。

 4人は共謀して、1月中旬ごろから2月上旬ごろまでの間に国や大阪府の許可を受けずにアンゴラ館の内装工事などを1億2200万円で受注し、2月上旬から工事を始めるなどした疑いがある。4人とも容疑を認めているという。

 建設業法は小規模な工事を除き、工事を請け負う業者が国や都道府県に許可申請するよう義務づけている。

 アンゴラ館の工事は発注元のアンゴラから複数の業者を経て一六八建設が受注したが、大阪府の調査で無許可で請け負っていたことが判明。府は7月、一六八建設を30日間の営業停止処分にしていた。

 府警は8月に一六八建設の関係先を家宅捜索し、押収したパソコンなどから受注の経緯を調べていた。

 男性社長はこれまでの毎日新聞の取材に「許可を得るための申請書類を準備していたが、経理担当者が提出していなかった」と説明。経理担当だった男性は「資格を持つ建築士との調整がうまくいかず、申請が間に合わなかった」などと釈明していた。

 一六八建設を巡っては、複数の下請け業者に対して計1億円以上の代金の未払いが確認されている。

 男性社長は「経理担当の男性が代金を着服した」と主張し、業務上横領容疑での告訴状を府警に提出している。一方、経理担当だった男性は「別の工事の支払いなどに充てた。個人で着服の事実はない」と否定するなど言い分が食い違っている。

 ある下請け業者の男性は「今も未払いが続いている。一六八建設側と連絡が取れず、解決の糸口が見えない」と悲痛な声で語った。

 万博を運営する日本国際博覧会協会によると、アンゴラ館の他に10カ国(25日時点)の海外パビリオンで、建設工事などに関わった下請け業者から費用の未払いに関する相談などが寄せられているという。

 一部は業者間で民事訴訟になるなど、10月13日の閉幕を前にトラブルが泥沼化している。【井手千夏】

毎日新聞

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