高騰に“商機” 通販サイトで密輸米「ジャパニーズライス」と偽装か

2025/10/06 19:45 

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 2024年の夏以降、国内では「令和の米騒動」と呼ばれるコメ不足や価格高騰が続いている。大阪府警は、ベトナムから緑豆と偽ってコメを密輸しようとしたとして逮捕した容疑者らがこうした状況を「商機」とみて、密輸を繰り返していたとみている。

 府警によると、逮捕されたチャン・ティ・トゥ・フェン容疑者(36)らは大阪税関が今年6月に貨物コンテナを調べた際、コンテナの開口部付近には緑豆を積み、奥にコメの入った段ボールを置くなどしていたとされる。密輸が発覚しないための工作だったとみられる。

 容疑者らが過去にも大量の緑豆を輸入したとの記録もあり、府警はコメを密輸するための虚偽申請だったとみている。

 フェン容疑者の会社のサイトでは、10キロ6900円で「ジャパニーズライス」としてコメが販売され、産地は日本と紹介されていた。これらが密輸したとされるコメかは不明だが、府警は仕入れ先や販売ルートについて解明する方針だ。

 農林水産省によると、国産米の不足は猛暑による高温障害などで23年産や24年産の収穫に影響が出たことが一因という。さらにインバウンド(訪日客)の急増で需要が高まったことや、南海トラフ地震臨時情報の発表(24年8月)で多くの人が買いだめに走ったことも不足に拍車をかけた。

 25年5月中旬には、全国のスーパーで販売された5キロ当たりの平均価格が4285円となり、過去最高を記録した。その後、政府が備蓄米を市場に放出するなどの対応を取ったが、依然として高い水準で価格が推移している。【井手千夏】

毎日新聞

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