伊藤匠叡王、藤井聡太王座から2冠目奪取 将棋・王座戦第5局

2025/10/28 20:37 

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 将棋の第73期王座戦(日本経済新聞社主催)五番勝負の第5局が28日、甲府市で指され、挑戦者の伊藤匠叡王(23)が藤井聡太王座(23)に97手で勝ち、3勝2敗でタイトルを奪取した。伊藤新王座は2冠となり、タイトル通算3期の条件を満たして同日付で九段に昇段した。藤井王座は2024年の叡王戦に続いて伊藤新王座にタイトルを奪われて6冠に後退し、将棋界は“藤井1強”時代から、同世代で八つのタイトルを競い合う“藤井世代”時代へと変化の兆しを見せている。

 伊藤新王座は、緻密な序盤研究と高い終盤力が持ち味。24年の叡王戦五番勝負では藤井王座に3勝2敗で勝ち、藤井王座の8冠独占を崩して注目を集めた。今期王座戦では第1局を落とした後、第2、3局は終盤の競り合いを制して連勝し、先に王手をかけた。第4局に敗れてフルセットになったが、第5局は終始強気の指し手を貫き、終盤の読みでも藤井王座を上回って2冠目をつかみ取った。

 終局後、伊藤新王座は「藤井王座とのタイトル戦は1年以上間が空いて不安があったが、結果的に熱戦の、いいシリーズにできてよかった」と笑顔をのぞかせ、藤井王座は「全体として終盤で競り負けてしまった。実力不足だったと思うので少しずつ力を付けていくしかない」と力なく語った。

 23年の竜王戦でタイトル初挑戦を果たした際、「『藤井世代』と言ってもらうには、(藤井王座と)いい勝負ができないといけない」と口にしていた伊藤新王座。同世代の藤井王座から2度目のタイトル獲得を果たしたことで「藤井世代」の好敵手として名乗りを上げた。【丸山進】

毎日新聞

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