日米首脳会談、抑止力強化で合意 「日米同盟の黄金時代を共に」

2025/10/28 21:17 

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 高市早苗首相は28日、トランプ米大統領と東京・元赤坂の迎賓館で会談した。対面での会談は初めて。首相は会談後、首相官邸で記者団に「同盟の抑止力、対処力を一層強化するとともに、日米韓3カ国といった同志国連携を一層推進していくことを確認した」と強調。会談の焦点の一つだった防衛費の増額に関しては「日本として主体的に防衛力の抜本的強化と、防衛費の増額に引き続き取り組んでいく決意を伝えた」と明らかにした。

 会談はワーキングランチと合わせて約1時間半行われた。首相は会談の冒頭、「今や日米は世界で最も偉大な同盟になった。日本も共に世界の平和と繁栄に貢献をしていきたい」と述べた上で、「日米同盟の新たな黄金時代を共に作り上げていきたい」と呼びかけた。トランプ氏は日本の防衛装備品の購入拡大を歓迎。「我々は最高レベルの同盟国だ。この関係はこれまでにないほど強固なものになるだろう」と強調した。

 会談では、トランプ氏が防衛費の増額など日本側の負担増をどこまで要求するかが焦点の一つだった。首相は記者団に「防衛費の規模感については先方からも話はなかった。特に数字を念頭に置いたやり取りはなかった」と述べた。防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%に増額する目標を25年度中に前倒しする方針などを説明したとみられる。

 両首脳は経済安全保障の推進に向けて、レアアース(希土類)など重要鉱物の安定確保に向けた協力に関する文書に署名。日米関税合意の際に約束した約5500億ドル(約80兆円)の対米投資の着実な履行に向けた文書も交わした。

 両首脳は中国を巡る諸課題についても意見交換した。力または威圧による一方的な現状変更の試みに反対し、日米の緊密な連携を確認。台湾海峡の平和と安定の重要性も改めて確認した。首相は北朝鮮による日本人拉致問題に対する理解と協力を求め、トランプ氏は日本への全面的な支持を表明した。両首脳は北朝鮮の完全な非核化に対するコミットメントも再確認した。

 また両首脳は、安倍晋三元首相が提唱した「自由で開かれたインド太平洋」を共に実現することでも一致した。会談冒頭で首相が「安倍氏に対する長きにわたる友情に感謝している」と伝えると、トランプ氏が安倍氏の死を悼み「安倍氏は高市氏のことをよく話していた。首相になったことをとても喜んでいるだろう」と応じる場面もあった。

 両首脳はその後、大統領専用ヘリコプター(マリーンワン)で共に米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)に移動。米原子力空母ジョージ・ワシントンの艦内で首相とトランプ氏がそれぞれ演説し、強固な日米同盟をアピールした。首相が聴衆の米兵らの歓声に拳を上げて、跳びはねながら笑顔で応じる一幕もあった。【原諒馬、大野航太郎、松井聡】

毎日新聞

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