高市内閣「ロケットスタート」 高支持率に早期解散論も 与野党反応

2025/10/28 16:40 

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 毎日新聞など報道各社が実施した世論調査で高市早苗内閣の支持率が軒並み高水準となり、首相が自民党総裁就任直後に語っていた「ロケットスタート」を切ることに成功した格好だ。派閥裏金事件以降、内閣・自民支持率はともに低調だっただけに、自民内には早くも、衆院過半数の回復に向けた早期解散論もささやかれる。一方、政権発足からわずか1週間足らずでの調査結果に「実態のない期待値だ」との声も漏れる。

 木原稔官房長官は27日の記者会見で、高い内閣支持率について問われ、「国家国民のために果敢に働いていくという決意の下で今後も(政権運営を)進めていく」と語った。政権幹部は「勝ってかぶとの緒を締めよ、だ」と述べ、気を引き締めた。

 毎日新聞が25、26の両日に実施した世論調査での高市内閣の支持率は65%。調査方法が異なるので単純比較はできないが、発足直後としては歴代7番目の高水準となった。国民民主党や参政党支持層からの支持も厚く、これまで支持離れが指摘されていた保守層の回帰との見方もある。自民関係者は、保守的な政治信条を持つ首相がもたらした「高市効果だ」と解説した。他の報道各社の世論調査でも、内閣支持率は6~7割に上った。

 高市政権が発足する過程では、公明党が連立を離脱し、自民は日本維新の会と連立政権を樹立した。新たな連立パートナーとなった維新の政党支持率は前回9月調査の4%から8%へ倍増しており、一定の支持を得られたようだ。維新の藤田文武共同代表は毎日新聞の取材に「連立政権の船出に対する期待感が表れたと思うが、着実な政策実現ができなければ期待は一気にしぼむ。徹底して有言実行の政策実現にこだわりたい」とコメントした。

 「ご祝儀相場」(自民関係者)とも言える高支持率に、自民内では早くも早期の衆院解散・総選挙の可能性に言及する声が出始めた。新たな連立政権も衆参ともに少数与党であることには変わらない。政権安定化のためには多数を得る必要があり、早期解散が近道との主張だ。ある閣僚経験者は「自民党支持率も上がっている。支持率が下がる前の解散はあり得る」との見通しを示した。公明の連立離脱に伴い、国政選挙で同党から支援を得ることは難しくなっているが、自民内には「ここまで支持率が高ければ影響は関係ない」との強気の意見もある。

 ただ、内閣支持率に比べ自民支持率の上昇は限定的だ。国民民主の川合孝典参院幹事長は27日の会見で、「自民への不信感は払拭(ふっしょく)されていない」と指摘。早期解散論には「曖昧な期待感だけで投票してもらえるほど、有権者は甘いのか」とけん制した。

 早期解散の行方を占う上で、自民、維新の連立政権合意に盛り込まれた衆院定数削減がポイントになりそうだ。選挙区や定数を変更する場合は法案成立後、一定の周知期間を置くのが通例だ。定数削減の実施を待たず解散が断行されれば、自己矛盾を抱えることになりかねない。

 一方、野党では公明や共産党など少数政党を中心に定数削減に慎重意見が多く、法案成立には紆余(うよ)曲折も予想される。ある立憲民主党関係者は「与党が定数削減を争点に『守旧派対改革派』と迫って解散するような事態になれば厳しい」と語った。【遠藤修平、園部仁史、池田直】

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