尼崎脱線事故の車両保存施設12月完成 JR西社長「教訓心に刻む」

2025/11/08 21:06 

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 兵庫県尼崎市で乗客106人が死亡した2005年4月の福知山線脱線事故を巡り、JR西日本の倉坂昇治社長は8日、記者会見を開き、12月中旬に完成する事故車両の保存施設について「事故の反省、教訓を心に刻む場所として大切にしたい」と述べた。施設は原則非公開だが、希望する遺族らを個別に案内する考えも明らかにした。

 この日は事故の遺族や負傷者を対象にした説明会が兵庫県宝塚市であり、計62人が出席。終了後に倉坂氏が会見した。

 JR西は大阪府吹田市の社員研修センター敷地に施設を整備。7両編成の事故車両のうち、損傷の激しい1~4両目は座席やつり革などの部品を並べ、原形をとどめる5~7両目はそのまま展示するとしている。

 倉坂氏は会見で、専門家の助言を受けて展示・案内方法を検討していると説明。室内を明るく保ち、展示の概要を事前に説明するなど見学者の心理的負担に配慮することを明らかにした。施設は原則非公開だが、警察や消防関係者らにも公開する方針も示した。

 施設公開のあり方について倉坂氏は「一般公開は風化防止につながるという意見がある一方、興味本位で触れられたくないという人もおり、意見が拮抗(きっこう)している」と説明。この日も出席者からは「公開のあり方は今後も検討を続けてほしい」とする意見が出たという。【小坂春乃】

毎日新聞

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