「反撃能力」ミサイル配備中止求め集会 熊本の商店街に1200人

2025/11/09 19:38 

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 有事の際の「反撃能力」(敵基地攻撃能力)となる長射程ミサイルを熊本市東区の陸上自衛隊健軍駐屯地に最初に配備する計画を巡り、配備の中止を求める集会が9日、駐屯地近くの健軍商店街であった。主催者発表で約1200人が参加し、8月に防衛省が健軍駐屯地への配備を発表した後、最大規模の反対集会となった。アーケード商店街を埋めた参加者は、市街地にある駐屯地に、敵の攻撃対象となるミサイルを配備することへの不安や憤りを口々に訴えた。

 防衛省は地上発射型の国産ミサイル「12式地対艦誘導弾」を改良した「能力向上型」を2025年度末に健軍駐屯地に配備する。駐屯地の周辺には病院や学校、住宅などが密集し、住民の不安も強い。これに対し、防衛省はミサイルの運用方法について「状況に応じて、配備先から必要な場所に移動して任務にあたる。配備をもって、その場所で運用することにはならない」としている。

 集会は地元住民らでつくる「STOP!長射程ミサイル・県民の会」(山下雅彦代表)が主催した。地元の高校生や医師、ベトナム戦争を経験した米国の退役軍人ら14人がマイクを手に配備に対する考えや思いを語った。

 東区内の保育園で理事長を務める建川美徳さん(75)は防衛省が健軍駐屯地の司令部の地下化を進めていることに触れ、「国は『健軍駐屯地からミサイルを撃つわけではないので心配しなくていい』というが、ではなぜ自分たちだけ『地下壕(ごう)』を造るのか。それなら住民の地下避難施設も造るべきだ」などと訴えた。

 集会では「配備が中止されるまで声を上げ、行動し続ける」とした宣言を採択。住民説明会の早期開催も求めた。集会後、参加者は健軍駐屯地まで約1キロを「武力で平和は守れない!」などと書かれた横断幕を持って行進し、県民の会の山下代表が健軍駐屯地の担当者に集会宣言を手渡した。

 山下代表は「目標としていた1000人を超える参加があり、関心が広がっている。今後も取り組みを続けていきたい」と語った。【野呂賢治】

毎日新聞

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