海づくり大会に出席の両陛下、水産高生と交流 稚エビなど放流も

2025/11/09 23:17 

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 第44回全国豊かな海づくり大会に出席するため三重県を訪問した天皇、皇后両陛下は9日、南伊勢町の漁港で県立水産高校の生徒と交流された。実習船「しろちどり」の前で、カツオ一本釣りの漁業実習などの説明を受けた。出航直前の生徒もおり、皇后雅子さまは「つらい時もあるかもしれませんが、気をつけて行ってきてください」と安全な航海を祈る言葉をかけていた。

 両陛下は、かつて使われていた竹ざおと、軽量化されたグラスファイバー製のさおを持ち比べたり、船上生活の大変さを尋ねたりして和やかに懇談。漁港では、イセエビの稚エビやマダイの稚魚も放流した。

 漁港での行事に先立ち、大会式典は志摩市内で開かれた。天皇陛下は「気候変動など多くの課題に直面している漁業関係者の皆さんにはご苦労も多いことと思います。海や漁業への理解と関心が更に深まり、豊かな海づくりの輪が三重県から全国へ、未来に向けて広がっていくことを願います」とおことばを述べた。

 式典では、答志島で両親のノリ産業を手伝う川原瑠心(るこ)さん(鳥羽市立答志中3年)が作文を披露。ノリが黒く色づかず、捨てざるを得ない事態が続いた時に知ったノリ産業の厳しさや両親の苦労を踏まえ「大好きな海を守るために、先の見えない自然とこれからも向き合っていきたい」などと読み上げると、両陛下は何度もうなずきながら、拍手を送っていた。【山田奈緒】

毎日新聞

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