金塊買わせ詐取疑い 「トクリュウ」の可能性 2年前から全国で急増

2025/11/11 20:01 

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 高齢者に金塊を購入させてだまし取ったとして、埼玉県警は11日、東京都豊島区の会社役員、成瀬暁太郎容疑者(36)と、埼玉県上尾市の会社役員、杜伝利容疑者(50)=中国籍=ら、日本人と中国人の計5人を、詐欺と組織犯罪処罰法違反の疑いで逮捕した。同様の特殊詐欺は各地で相次いでおり、県警はこのグループによる被害総額が4億円に上るとみて調べる。

 金塊を買わせる詐欺グループの摘発は全国的にも珍しい。都内を中心に活動する匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の可能性があり、県警は実態解明を進める。

 逮捕容疑は6月24日から複数回、埼玉県川越市の男性(70代)に警察官をかたって電話をかけ、「詐欺事件で300人が犯人として浮上し、あなたの名前が載っている」「口座にあるお金を調査するので金(塊)に換えて」などと持ちかけ、金塊27個(時価約4608万円相当)を購入させてだまし取ったとされる。

 県警によると、電話を信じた男性は電話注文で金塊を購入。その後、外国籍の「受け子」が男性宅を訪れて金塊を受け取っていた。

 金塊は都内の買い取り店に売却され、さらに加工業者に持ち込まれていたのを県警が発見した。県警は、成瀬容疑者と杜容疑者が事件の指示役とみて調べている。

 金塊を購入させてだまし取る特殊詐欺は、2年ほど前から全国で急増している。警察庁によると、2024年には少なくとも10都府県で計21件(約9億円)の被害が確認された。25年7~10月には、仙台市の高齢女性が、警察官をかたる電話にだまされ、約3億4800万円相当の金塊をだまし取られた。

 現金ではなく金塊をだまし取る理由について、ある捜査関係者は「現金ほどかさばらず、運びやすいのでは」と推測する。また、警察や事業者が警戒を強める金融機関を避けている可能性もある。警察庁は金塊を扱う業者に向けて、顧客に購入理由を確認するよう呼びかけている。【田原拓郎、板鼻歳也】

毎日新聞

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