被災者用住宅180室を確保 避難所ではインフルエンザも 大分火災

2025/11/22 19:39 

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 大分市佐賀関で住宅など約170棟が焼けた火災で、大分市は22日、被災した住民の仮住まい用に公営住宅や民間企業の社員寮など計180室を確保したと発表した。市は、立ち入りが規制されている区域にある自宅の状況を住民が確認するためのバスの運行を同日から始め、確認した世帯から順次、仮住まいへの入居の意向を聞き取っている。

 火災は18日午後5時45分ごろ発生。76歳の住民男性が死亡した。大分県や市によると、少なくとも4万8900平方メートルが焼失し、約130世帯が被災したとみられる。22日正午の時点でも69世帯108人が佐賀関地区の公民館に避難し、他にも親類宅などに身を寄せている被災者がいる。避難所では21日までに70代の男性2人がインフルエンザに感染し、市は感染予防のため、希望者に抗インフルエンザ薬「タミフル」を配布した。

 市や県は、被災者の仮住まい用として、公営住宅など103室▽民間企業の社員寮38室▽民間アパート29室▽有料老人ホーム10室――を確保した。入居するまでの間、希望者は市中心部のホテルに2次避難してもらうことも検討している。市は当初、22日から罹災(りさい)証明書の発行も始める予定だったが、24日に支援内容などに関する説明会を開いた後に発行することにした。

 市が22日朝から運行を始めたバスは避難所と、立ち入りが規制されている被災区域の間を往復。この日は住民ら76人が利用し、それぞれ30分ほど、自宅の被災状況を確認した。

 午前にバスを利用した敷嶋房子さん(87)の自宅は跡形もなかった。佐賀関地区で生まれ育ったといい、「よそには出たくない。小さい家でも建てて、またここに住みたい」とうなだれた。大分市の娘の元に避難している仲家(なかや)宣子さん(83)もバスで自宅へ戻ったが、全焼していた。「50年以上の思い出が残っている。まだ受け止めきれない」と声を詰まらせた。

 火災発生5日目となった22日も、佐賀関漁港から南東に約1・5キロ離れた蔦(つた)島では「鎮圧状態」に至らず、蔦島や佐賀関半島の山林で消火活動が続いた。九州電力によると、火災で損傷した区域以外の停電は22日午前に解消した。【井土映美、李英浩】

毎日新聞

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