米軍普天間飛行場の辺野古移設 大浦湾側の埋め立て工事を開始

2025/11/28 15:11 

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 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画で、防衛省は28日、米軍キャンプ・シュワブ東側の大浦湾で埋め立て工事を開始した。大浦湾側の埋め立ては初めてで、護岸で囲った約4・2ヘクタールの海域に土砂を投入した。今後、湾内の埋め立て予定海域に広がる軟弱地盤の改良工事と並行して、埋め立てを進める。

 小泉進次郎防衛相は28日午前の閣議後記者会見で、「引き続き地元の皆様に丁寧な説明を行いながら工事を着実に進め、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現したい」と述べた。一方、辺野古移設計画に反対する沖縄県の玉城デニー知事は「(完成の)見通しが立たないにもかかわらず、生物多様性が極めて高く、貴重な自然環境を有する大浦湾を埋め立てるのは性急に過ぎる。政府は辺野古移設計画を断念し、問題解決に向け、県との対話に応じていただきたい」とするコメントを発表した。

 移設計画ではシュワブの沿岸部約152ヘクタールを埋め立てる。水深が比較的浅いシュワブ南側の海域(約41ヘクタール)では2018年12月に土砂投入し、23年9月に埋め立て工事がほぼ完了している。

 一方、大浦湾の埋め立て予定海域では17年4月に護岸工事を始めたが、約66ヘクタールの範囲で海底に軟弱地盤が見つかり、工事は止まった。防衛省は約7万1000本のくいを打ち込む大規模な地盤改良工事を施す予定で、設計変更を県に申請。玉城知事は不承認としたが、法廷闘争の末、国土交通相が23年12月、知事に代わって承認手続きを代執行した。

 これを受け、防衛省は24年8月から大浦湾側での護岸工事を再開し、24年12月から地盤改良工事にも着手。護岸で囲った海域から埋め立ても進める。

 工事は順調に進めば33年ごろに完成する見込みで、米軍への提供手続きも含めた移設の完了は36年以降とされる。総事業費について、政府は当初「少なくとも3500億円」としていたが、地盤改良工事の追加で現在は約9300億円と見積もる。ただし、24年度までにその7割の約6483億円を支出しており、総事業費がさらに膨らむ可能性が指摘されている。

 玉城知事は県内移設に反対の立場を貫くが、工事を止める有効な法的手段はない状況が続いている。【比嘉洋、喜屋武真之介、竹内望】

毎日新聞

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