国立大運営費交付金、補正予算案で421億円計上 文科省「画期的」

2025/11/28 15:07 

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 国立大学に配分されている運営費交付金について、文部科学省は28日、2025年度補正予算案に421億円を計上した。人件費の高騰を反映した。人件費に充てられる予算を補正で計上するのは04年度の国立大学法人化以降初めて。国立大の基盤的経費となる運営費交付金は減少傾向が続いており、文科省の担当者によると補正予算案で400億円超の金額が盛り込まれるのは「画期的」という。

 当初予算での運営費交付金は23年度以降、1兆784億円で据え置きとなっている。補正予算は23年度が65億円、24年度も93億円にとどまっていたが、25年度は大幅の増額となった。当初予算と合わせると25年度の運営費交付金は1兆1205億円になる見込みという。

 21日に閣議決定された政府の総合経済対策は「未来に向けた投資の拡大」として先端科学技術の支援を挙げ、「物価上昇などを踏まえた国立大学法人の基盤的経費の確保による基礎研究の支援」と明記しており、これらを踏まえた対応とみられる。

 運営費交付金を巡っては、11日に開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で財務省が「(科学研究費助成事業などの)競争的資金への更なるシフト、運営費交付金依存度低下目標の設定」を促していた。文科省は26年度予算の概算要求では物価や人件費の上昇を踏まえ25年度当初予算比5・8%増の1兆1416億円を要求している。

 一方、都市部の大規模私立大の理系転換を後押しするため、22年度補正予算に創設した3000億円規模の基金に200億円を積み増すとした。省内では当初、1000億円規模の積み増しを検討していたが、財政当局との折衝の結果、計上額を引き下げた。基金の残額が800億円あり、検討していた事業規模は削減しないとしている。【木原真希、斎藤文太郎】

毎日新聞

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