高病原性鳥インフル 感染牛ミルクの含有ウイルス、感染性を長期保持

2025/12/04 07:00 

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 高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に感染した牛のミルクに含まれるウイルスは、冷蔵保存で5カ月以上にわたって感染性を保つとの結果を、東京大新世代感染症センターの河岡義裕機構長らが発表した。感染牛のミルクにはウイルスを安定させる特有の要因があるとみられ、感染拡大の脅威となることから、適切な対応が重要になる。

 研究チームは感染牛のミルクを採取し、4度で冷蔵保存した。すると22週間以上経過しても感染性を維持し、安定した状態が続いていた。一方、感染していない牛のミルクとウイルスを混ぜたところ、2~3週間で検出できなくなった。

 チームは「脂肪やたんぱく質など、感染に伴ってミルク中の成分が変化し、ウイルスを保護している可能性がある」としている。

 安定性が高まっても、高温殺菌の有効性はあった。原乳の熱処理として米国では一般的な72度で30秒間の殺菌をしたところ、感染性を失うことが確認できたという。

 河岡さんは「非加熱のものを口にすれば、人でも感染する恐れはある。感染牛のミルクでは長期間にわたってリスクが継続するため、適切な対策を考える必要がある」と話す。

 H5N1ウイルスは2020年以降に世界中で流行し、人を含む哺乳類への感染拡大が続いている。人では致死率は50%程度とされる。米国では乳牛への感染が拡大し、ミルクを介した人への感染拡大が懸念されている。日本で牛や人への感染例は確認されていない。

 成果は米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。【渡辺諒】

毎日新聞

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