窃盗「被害なかった」 連絡共有されず2人に捜索・差し押さえ 福島

2025/12/11 16:23 

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 福島県警は11日、いわき中央署で捜査していた窃盗事件で、被害届を出していた男性から「盗まれていなかった」と連絡があったにもかかわらず署内で共有されず、業務で男性宅を訪れていた別の男性2人に対して捜索や差し押さえを行い、携帯電話を押収していたと発表した。

 県警捜査3課によると、1日、福島県いわき市に住む70代男性から「不在中に自宅リビングにあったバッグが盗まれた」と被害届がいわき中央署に出された。バッグには現金数万円が入った財布も入っていた。

 捜査を進めた同署刑事1課は、「被害者」の自宅を1日に訪れていた男性2人を特定。8日に捜索差し押さえ令状を裁判所に請求し、発行された令状を元に9日朝、窃盗の証拠を見つけるため、2人の自宅で着衣や所持品を捜索。携帯電話1台を押収した。

 しかし、実際は既に窃盗事件はなかったことが分かっていた。被害届を出した男性が5日、同署の刑事1課に電話をし、「(バッグは)別の場所にあった」と被害がなかったと連絡していた。こうした連絡は本来、課長や捜査を担当する係に報告し、被害届を取り下げる手続きをとる必要があったが、されていなかった。

 2人を署に任意同行した後、2人が正当な業務で男性の自宅を訪れていたことが分かった。男性に連絡すると、男性は「被害はなかったと署に連絡したはずだ」と話し、署内で報告が上がっていなかったことが発覚したという。

 同署は9日、2人に対し携帯電話を返還した上で謝罪。10日にも同署と県警本部の幹部が改めて謝罪をしたという。県警は報告が上がらなかった原因については「調査中」とした上で「県民のための警察である意識を改めて浸透させ、再発防止に努める」としている。【松本光樹】

毎日新聞

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