死刑執行書の上申書不開示巡り、最高裁で弁論へ 名張毒ぶどう酒事件

2025/12/12 22:14 

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 名張毒ぶどう酒事件で死刑が確定し、2015年に89歳で獄中死した奥西勝元死刑囚の死刑執行に関する上申書を法務省が存否を明らかにせず不開示としたのは違法だとして、弁護士が国に開示を求めた訴訟は23日、最高裁で口頭弁論が開かれることになった。12日、再審を求めている弁護団が明らかにした。

 刑事訴訟法は判決確定から6カ月以内での死刑執行命令の発出を規定しており、弁護側は上申書の存在は明らかだと主張。上申書には裁判で提出されていない証拠の記録も含まれるという。法務省は「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼす恐れがある」として在否を明らかにしなかった。

 名古屋地裁は、不開示は適法と結論付けて請求を棄却。2審・名古屋高裁も地裁判決を支持していた。

 記者会見した弁護団は「存否を明らかにしないのは違法だと判断されることを期待している。その先に奥西さんの死刑執行上申書が開示され、その中に新たな証拠の情報を得られることを望みます」と話した。

 事件は1961年に発生。三重県名張市で女性5人が死亡した。第10次再審請求審は昨年1月、最高裁が元死刑囚の妹による特別抗告を棄却する決定をしたが、来年1月にも名古屋高裁に第11次再審請求をする予定。【塚本紘平】

毎日新聞

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