「あけましておめでとう」と言えぬ 弟失った兄が祈り 能登地震2年

2026/01/01 17:30 

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 最大震度7を観測した能登半島地震は1日、発生から2年を迎えた。石川県輪島市市ノ瀬町で起きた大規模な土砂崩れで、弟英次さん(当時56歳)を亡くした垣地弘明さん(60)は現場を訪れ、冥福を祈った。

 英次さんは瓦ぶき職人で、2023年に同居していた母を亡くしてから1人で暮らしていた。優しく世話好きで、地区の「若手」として頼られる存在だったという。

 地震による土砂崩れは自宅をのみ込み、英次さんは行方不明に。警察などの捜索は、2次被害の恐れや、24年9月の豪雨で中断を余儀なくされ、長期間に及んだ。地震から1年近くたった24年11月に英次さんの遺体が見つかった。

 垣地さんは地震が起きた2年前は、新年を英次さんと過ごすため、元日の昼過ぎに金沢市を車で出発し、道中、地震に遭った。

 26年元日は、山のふもとの英次さんの自宅跡地を訪れ、花を手向けて線香を上げ、手を合わせた。地震発生の午後4時10分に黙とうをささげた。

 取材に応じた垣地さんは「24年11月に(英次さんが)見つかり、25年1月に葬儀だったので、私にとっては2年ではなく、1年しかたっていない」と胸中を明かした。「僕だけじゃないが、(被災者は)どこにもぶつけようのない気持ちを持って毎日を過ごしていると思う。元日に『あけましておめでとう』と言う気持ちにならない。気持ちが前に進んで、いつしか言える日が来ることを願っています」と話した。【島袋太輔】

毎日新聞

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