「情報伝達の遅れが事故拡大に」 大阪ビル火災、調査委が最終報告書

2026/01/30 14:00 

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 大阪・ミナミの雑居ビルで2025年8月、消火活動中の消防隊員2人が死亡した火災で、大阪市消防局の事故調査委員会は30日、最終報告書を公表した。壁面看板を伝って急速に延焼が広がったことや、爆発的な燃焼が起きる「バックドラフト現象」が発生したことなど複合的な要素が重なって死亡事故が起きたと結論づけた。

 調査委は最終報告書で、当時の指揮命令系統の問題点も詳述した。複雑な建物構造や現場の混乱から、指揮本部と消防隊員らとの間で火災の危険性や活動状況が十分に共有されていなかったと指摘。情報の伝達が遅れたことで、救出に時間がかかるなど「事故の拡大につながった」と言及した。

 火災は8月18日午前9時45分ごろ発生。道頓堀川沿いに隣り合う6階建てと7階建てのビル2棟が焼けた。東側の7階建てビルで活動中だった消防隊員2人が死亡した。

 25年12月の中間報告書では、延焼拡大の一因となった3メートルを超える壁面看板に法律で定められた不燃材料が使われていなかったことが判明している。

 最終報告書は、西側ビルの地上付近から出た火が室外機や壁面看板を伝って急速に東側ビルまで広がったと分析。亡くなった2人の隊員がいた階下でバックドラフト現象が発生し、逃げ遅れたと総括した。出火原因は、大阪府警が捜査中のため非公開としている。

 調査委は「想定しがたい火災の展開だったが、複数の原因が重層化した。初動での的確な情報収集や危険予測など多角的な対策が必要だ」と課題を示した。

 事故を受け市消防局は、安全管理を担う部署の新設や仮想現実(VR)を活用した訓練システムの導入などの再発防止策を打ち出した。【斉藤朋恵、大坪菜々美】

毎日新聞

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