福島・浪江の老舗旅館が再開へ 諦めかけた主人を支えた身近な助っ人
東京電力福島第1原発事故の影響で大半が帰還困難区域となった福島県浪江町津島地区で、閉業した老舗「松本屋旅館」の再開を、4代目の今野秀則さん(78)が決めた。仲間と共同経営する。解体か保存か。悩み抜いた築約130年の旧館は、避難した住民の一時帰宅の際の立ち寄りや、地区内外の人が歴史や文化を学ぶ集いなどに利用し、年内にも隣接の新館で旅館業の再開を目指す。今野さんは「地区の復興に役立てたい」と意気込む。【田倉直彦】
旧館は明治末ごろの建築で、木造2階建て延べ約400平方メートル。創業した今野さんの曽祖父の婿入り前の姓から「松本屋」と名付けられた。最盛期の1960~70年代には年間約3000人が宿泊。事故の約10年前には家族の居宅も兼ねた2階建ての新館も建てた。
津島は農業や畜産、養鶏も営まれ、豊かな実りのある地域だった。山あいで助け合う中で住民同士の関係も深い。そんな暮らしが2011年の原発事故で一変した。地区は立ち入りが規制され、約400世帯1400人いた住民は各地に散り散りになった。
旅館は閉業し、今野さんも大玉村に避難した。一方で、破壊された地域の暮らしを取り戻したいという思いから、住民が地区全域の原状回復などを求めた訴訟(仙台高裁で控訴審中)で原告となり、団長を務めている。
23年3月、旅館周辺の避難指示がようやく解除されたが、新たな悩みに直面した。自宅などを公費で解体できる期限はその1年後とされ、旅館の建物を解体するのか決めなくてはいけない。避難指示が解除されたのは地区の総面積の1・6%のみで、住民の帰還のめどは立たない。「曽祖父から代々の私たちの思いがこもった家を壊せない」との強い思いはあっても、「私の代はいいが、その後で解体することになれば、子や孫に負担を強いる」と悩んだ。
旧館の建築当初は養蚕も営む農家住宅として建築。曽祖父が、街道の整備に伴い旅館を開業したという、家の歴史も思い起こされた。かつてその家で兄弟と遊んだ夢も見る。近くに住み、事故後に自宅を解体した後で気持ちの張りを失ったようだった叔母からは「秀坊、家は壊すなよ」と言われた。考え続け、保存を決めた。
旅館の再開については高齢でもあり、諦めていた。だが、助っ人は身近にいた。24年から、今野さんが旅館敷地内の蔵を研究室として提供してきた放射線衛生学者の木村真三・独協医大准教授(58)だ。木村さんから旧館は交流の場とし、新館を旅館として再開させ、共同経営するという提案を受け、了承した。
木村さんは震災直後から県内各地の放射線量を測定し、津島地区でも測定を続けるなどして住民を支援してきた。周囲の建物の解体が進む中、地区の記憶を受け継ぎ、復興へつなぐ拠点としての活用を構想。地区内外の人が伝統の「田植踊(たうえおどり)」を練習できる場所にするなど、今野さんら地区住民とさまざまな案の検討を始めた。人が集まる機会をつくるところから地区の復興を目指す。
木村さんは「旅館でゆっくり宿泊や食事ができるようにして、人を呼び込みたい」と語る。今野さんは「家が荒廃し、住民は断腸の思いで解体している。復興には一からまちづくりを進める必要があり、私も協力したい」と力を込めた。
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