「平坦ではなかったけれど」 奥能登で卒業式、住民ら門出祝う
卒業シーズンを迎え、能登半島地震や豪雨災害で甚大な被害を受けた奥能登の中学校でも13日、生徒らが門出の日を迎えた。地震後、多くの同級生が地元を離れ、入学時からは想像もできなかった寂しい学校生活を送った子供たちもいる。喜怒哀楽、さまざま思い出を胸に学びやを巣立った。【岩本一希、中尾卓英】
◇地域住民らで「人のアーチ」
全校生徒4人の石川県珠洲市の大谷小中学校の卒業式には、教員や在校生に加え、地域住民らも参加。約30人が見守る中、ただ1人の卒業生、川端美冬さん(15)の門出を祝った。
川端さんには元々、3人の同級生がいたが、地震を受け、全員が市外へ転校。以来、中学1、2年の後輩3人とともに学んできた。
この日、やや緊張した面持ちで式に臨んだ川端さんは、これまでの思い出がこみ上げ、あふれる涙を何度も手で拭った。答辞では、地震後、生徒が減って不安な気持ちになったことを明かし、「皆さんのおかげで充実した学校生活が送れた」と感謝の思いを伝えた。
鎌田香校長は「困難を乗り越えての卒業。美冬さんが育った大谷は素晴らしいところ。ふるさとに誇りを持ち、いつかはこの地に帰ってきて」とエールを送った。
式後、地域住民らが手をつないで「人のアーチ」を作り、川端さんを送り出した。4月からは市内の高校へ進学する予定で、川端さんは、同級生がたくさんいる環境での新生活に期待を膨らませた。
◇「心を一つにしたから、歩いてこられた」
同県穴水町の町立穴水中学校では、保護者ら約100人が見守る中、29人が巣立った。3年生の中で地震後に転校した同級生はおらず、入学時から一緒に過ごした友人らとともに式に臨んだ。
卒業生一人一人に卒業証書を手渡した広沢孝俊校長は、地震からの2年間の軌跡を振り返り、「問いを持ち、仲間を忘れず、自分を信じて真っ白な解答用紙に答えを書き込んで」とはなむけの言葉を贈った。
卒業生を代表し、金沢市内の高校へ進学予定の瀬戸瑛太さん(15)と中済莉央音さん(15)が、「地震の日から平坦(へいたん)な道ではなかったけれど、変わらぬみんなと心を一つにしたから、ここまで歩いてこられました」「今後、迷った時はふるさとで学んだことを忘れず、真っ白な未来に踏み出していきます」と答辞を述べた。
最後に全員で合唱し、在校生や教員、保護者らへ感謝の気持ちを伝えた。
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