オバマ大統領と抱擁し涙…被爆米兵調査に半生ささげた森重昭さん

2026/03/17 16:49 

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 広島原爆で犠牲となった米兵捕虜を独自調査で明らかにした歴史研究家で被爆者の森重昭(もり・しげあき)さんが14日、心臓急死のため死去した。88歳。葬儀は家族で営んだ。喪主は妻佳代子(かよこ)さん。

 被爆米兵の調査に半生をささげた森重さん。自身も被爆者で、「原爆を落とした国のためになぜそこまでするのか」と批判を受けることもあった。しかし、「家族を戦争で亡くした気持ちは日本人もアメリカ人も同じだ」という信念が地道な調査を支えた。

 被爆した当時について、取材に「泣きながら足元にある多くの遺体を踏みつけて逃げた記憶が忘れられない」と語った。被爆時の状況について住民の聞き取り調査をしていた30代のころ、NHKの呼び掛けで被爆者が原爆投下直後を描いた絵の中に米国人の捕虜の絵があると知った。

 「米兵がなぜ広島にいたのか」。疑問に思い、日米の公文書を調べ上げた。亡くなった兵士の氏名を突き止め、遺族に伝えてきた。

 2016年5月、広島を訪問したオバマ米大統領(当時)と抱き合う場面は多くの人に感銘を与えた。「人生で最高の時だった」と振り返った森さん。オバマ氏がスピーチで「広島で殺された米国人たちの家族を捜し出した男性がいた」と触れ、「これまでやってきたことが報われた」と涙があふれたという。

 その後も「全ての被爆した外国人兵を突き止めたい」と、長崎で被爆したオーストラリア人捕虜らの調査を続けた。【竹内麻子】

毎日新聞

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