西日本豪雨のダム緊急放流訴訟 国などの賠償認めず 松山地裁
2018年の西日本豪雨で愛媛県内の二つのダムの緊急放流後に肱川(ひじかわ)が氾濫して被災した住民ら31人が、国と地元自治体の大洲市、西予市に約5億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、松山地裁(古市文孝裁判長)は18日、住民側の請求を棄却した。
西日本豪雨では18年7月7日朝、国土交通省四国地方整備局が管理する鹿野川ダム(大洲市)と野村ダム(西予市)で貯水が限界に達し、両ダムは午前6時20分以降に緊急放流を実施。鹿野川ダムでは最大で毎秒約3700トン、野村ダムでは約1800トンの水が流された。いずれも当時の肱川の整備状況を基に取り決めていた、大雨時の放流基準のおよそ6倍の量だった。
緊急放流はその日の午後1時までに終了したが、肱川は氾濫。両市によると、9人が死亡し、約3500戸の住宅に被害が出た。住民側は国と両市に責任があったとして訴訟を起こした。
訴訟では主に緊急放流の是非が争われた。
住民側は、ダムに備えられた雨量や雨の流入量の予測システムのデータに基づけば、国は少なくとも緊急放流の約2時間前に急激な放流をせざるを得なくなることを予見できたと主張。雨が降ることを見越し、雨量に応じてダムから徐々に水を流していれば、緊急放流は回避でき、被害を防げたと主張した。
これに対し国側は、二つのダムには事前に取り決めていた規則があり、それに従ってダムを操作したと主張。規則を逸脱した操作は許されなかったと反論した。
地元の大洲市、西予市は、両ダムから緊急放流を実施すると連絡を受け、住民に避難指示を出していた。訴訟では地元自治体の対応が妥当だったかも争われた。
住民側は、国から過去の水害を超える放流量になると知らされた大洲市が緊急放流の約15分後まで避難指示を出さなかったとし、家屋が流されるほどの大量の放流量になると分かっていた西予市もその危険性を具体的に伝えていなかったと訴えた。
西日本豪雨を巡っては、国や自治体、電力会社に賠償を求める集団訴訟が岡山地裁でも起こされている。【岩崎歩】
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