再審制度見直し議論 検察官抗告、「法案修正」も視野 法務省
確定した刑事裁判をやり直す再審制度の改正議論を巡り、再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)を認める法案について、法務省が修正を視野に入れていることが政府・与党関係者への取材で判明した。全面禁止を求める自民党議員らの声に押される形で、現状維持の路線を変更する可能性が出てきた。
当初案は専門家が集まる法制審議会(法相の諮問機関)の答申に基づき、検察官抗告を従来通り全面的に認める内容だった。法務省は今後、どのような対応が可能か自民党の法案審査の意見を踏まえて対応を検討するとみられる。
全面禁止を求める議員や冤罪(えんざい)被害者らからは「当初案のままでは再審請求審の長期化は解消されない」との指摘があった。一方、自民の中には当初案に賛成する意見もあることから、議論が今後も紛糾する可能性がある。
法務省は当初案を7日にも閣議決定し、刑事訴訟法改正案として特別国会への提出を目指していたが、3日の自民部会で反対意見が相次ぎ、スケジュールを見直す展開となっていた。6日も部会が開かれ、再審請求審での証拠開示のあり方について約2時間半議論したが、検察官抗告の禁止の是非は議題には上らなかった。
終了後、検察官抗告の禁止を求めてきた超党派議員連盟の会長、柴山昌彦元文部科学相は報道陣から「抗告を制限するような修正はあり得るか」と問われ、「(修正案の)具体的な説明は法務省側からなかった。抗告を一定の範囲で許すことになれば、検察に抗告の判断を委ねることに変わりはなく意味のないことになりかねない」と指摘した。
また、再審制度の見直しに向けて取り組む弁護士や刑事法学者らが6日、東京都内で記者会見し、「抗告の制限では審理が長期化する問題は解決しない。全面禁止にすべきだ」と改めて訴えた。法務省が修正も視野に入れ始めたことについては評価する声も上がった。
現行制度では、元被告が裁判所に再審請求を申し立て、裁判所が「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」があるかを審理し、有罪の確定判決に合理的な疑いが生じた場合に再審開始決定を出す。検察官が抗告することで、上級審でも同じ争点での審理が続き、1966年に静岡県で起きた一家4人殺害事件で再審無罪となった袴田巌さん(90)のケースでは、再審無罪確定まで約10年を要した。
2025年4月に始まった法制審の議論は、検察官抗告の全面禁止を求める日本弁護士連合会側と、法的安定性を求める検察官や刑事法学者らの意見が対立。法制審は2月、検察官抗告を禁止しない刑訴法改正案の要綱を多数決でとりまとめた。【巽賢司、岩本桜、菅健吾】
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