裁量労働制拡大、反対の弁護士らが集会 「仕事量には裁量ない」
実際に働いた時間にかかわらず、あらかじめ決めた時間を労働時間とする裁量労働制。高市早苗首相が制度の見直しに言及する中、「過重労働の拡大につながる」と制度の適用拡大に反対する弁護士らが16日、東京都千代田区で「STOP!!定額働かせ放題」を掲げ集会を開いた。集会には弁護士の他に、同制度で働いて家族が過労死した遺族や過労死の研究者、労働組合などが参加、労働時間の規制緩和の方向に疑問の声を上げた。
労働時間の規制は、2018年に成立した働き方改革関連法により、長時間労働を是正する動きが始まった。自民党・日本成長戦略本部は15日、残業の一律規制の見直しなど残業時間を増やす方向を提言している。また、高市首相の表明を受け、裁量労働制の適用拡大を求める声が上がっている。裁量労働制は実際の労働時間に関わらず一定の賃金が支払われることから「定額働かせ放題」と批判されることもある。
こうした動きに労働問題に取り組む弁護士で作る日本労働弁護団が「長時間労働助長につながり、命と健康を損なう」と危機感を抱き、集会を企画した。
集会では労働弁護団幹事長の佐々木亮弁護士が、制度は自らの仕事に裁量がある人が自分のやり方で仕事ができるとされているなどと概要を紹介。問題点を「働く人に裁量があるのは仕事の進め方だけで、仕事の量やその仕事の期限をいつにするかに裁量があるわけではない」と述べ、膨大な量、短い締め切りで仕事を命じられれば、長時間労働が常態化すると指摘した。
また、「働きたい」との要望があるとする自民党や財界の意見については、厚生労働省の調査の数字(26年3月公表)で、労働時間を「増やしたい・やや増やしたい」が10・5%だったのに対し「減らしたい・やや減らしたい」が30%だったことなどを上げ、「働く人は収入の増加や仕事生活の調和、健康維持を望んでおり、裁量労働制の拡大はそれに応えるものではない」と訴えた。
裁量労働制で働いていた夫を過労死で亡くした渡辺しのぶさんは「夫は毎日残業しても終わらないほどの業務を割り振られていた。自分の裁量で働ける状態ではなかった。それなのに、(裁量制だから)勝手に働いて死んだと(会社に)言われとても辛かった。そんな制度の適用拡大は働き方改革に逆行するもので許されない」と話した。
集会では労働組合の全国組織の連合、全労連など3団体のメンバーがそれぞれ、労働時間の規制緩和に反対する意見を述べた。3団体が同じ集会で一緒に意見を述べるのは極めて珍しく、参加した弁護士は「働く人が規制緩和へ動いている現状に強い危機感を持っている表れだ」と話していた。【東海林智】
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