イルカ、その筋肉量でなぜ速く泳げるの? 秘密は「渦」にあった
イルカは筋肉量がそれほどでないのに、市街地を走る車と同じくらいのスピードで泳ぐことができるのはなぜなのか――。この謎について、大阪大のチームが「尾びれの上下運動が水中で生み出す『大きな渦輪』に秘密があった」と発表した。スーパーコンピューターの「富岳」でシミュレーションして解明した。
イルカは水の抵抗をものともせず、時速40~50キロで泳ぐ。しかし、1930年代に英国の動物学者ジェームズ・グレイ氏が、それには筋肉量が不十分だと指摘し、「グレイのパラドックス」と呼ばれるようになった。水の抵抗を減らす皮膚の特殊構造などだけでは説明できず、生物の世界で長年の大きな謎だった。
チームは、イルカの尾びれが上下に動くことで水中に生じる「乱流」に着目した。富岳でイルカの泳ぎをシミュレーションし、乱流の構成要素である大小さまざまな渦に分解して解析。すると、尾びれサイズの大きさで輪のような形状の渦が、強い後ろ向きの流れを作り、大きな推進力を生んでいることが明らかになった。
一方、小さな渦輪は推進力を得るのにそれほど重要ではなかったという。
チーム代表の本告遊太郎・大阪大講師(流体力学)は「速く泳ぐための重要なポイントは『いかに大きな渦輪を作るか』にあることを明確に示せた。省エネで推進力を得られ、水中ドローンや水中ロボットの設計に応用が期待できる。鳥や昆虫がどうして飛べるのか理解することにもつながる」と話した。
研究成果は、4月30日付の米科学誌「フィジカル・レビュー・フルーイッズ」に掲載された。【河内敏康】
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