「お父さん寂しいよ」横田早紀江さん、滋さん命日を前に思い語る

2026/06/02 19:37 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさん(行方不明時13歳)の父滋さんが87歳で亡くなってから5日で6年。命日を前に、母早紀江さん(90)が2日、川崎市内で報道陣の取材に応じた。「この年齢になり、(めぐみさんと)もう会えないかもしれないと思うようになってきている。でも解決まで頑張るのが親の使命だ」と心境を語った。

 早紀江さんは毎朝、滋さんの写真の前にお茶を供え、たわいない話をする。「お父さん寂しいよ」「どこまでお願いすれば解決するんだろうね」。写真の中の滋さんは、いつもニコニコ笑って話を聞いてくれる。

 めぐみさんが拉致されてから20年後の1997年3月、滋さんは早紀江さんらと家族会を立ち上げ、歴代首相らに解決を訴えた。夫婦で全国を巡り、1400回を超える講演をこなすなど、常に救出運動の先頭に立ち続けてきた。

 思い出すのは97年、めぐみさんの実名を公表した時のことだ。家族が反対する中、滋さんは「匿名では信ぴょう性を疑われる。本名で世論を高める方がめぐみを守ることになる」と決断。実名報道がきっかけとなり、めぐみさんに関する新たな証言が得られたという。

 趣味のカメラで、はしゃぐわが子をフィルムに収めるのが喜びだった。「ずるい人間にだけはなるなよ」が口ぐせだった。そんな滋さんを、早紀江さんは「本当に一生懸命で、何より子どもたちを愛していた」と振り返る。

 早紀江さんは先週、教会に行く途中で転倒し、左肩を脱臼した。この日の取材も布で腕を固定して応じた。「私も体は弱ってきたが、拉致問題が解決することだけが生きがい。必ず終着があると信じています」【最上和喜】

毎日新聞

社会

社会一覧>