スイカに穴開け手突っ込み… アライグマ被害深刻、歯止めきかず
千葉県内でアライグマが急増し、収穫シーズンを迎えたスイカ農家らが頭を抱えている。夜に出没し、収穫目前の実を食い荒らすためだ。農家はあの手この手で自衛するが、繁殖力が強いアライグマによる被害に歯止めがかからない。
「これはおじさんたちがクマと戦って作ったスイカです。千葉にもクマがいるんですよ。アライグマというクマです」。スイカの産地、八街市で5月、地元の農家らがこども園にスイカを贈る恒例の行事で、農家がこう言って子どもたちを和ませていたが、被害は深刻だ。
「農家だけでは到底太刀打ちできない」。今年初めて被害を受けたという八街市の40代の男性農家は嘆いた。
5月中旬、ビニールハウスで2月から育ててきたスイカを収穫しようとしたところ、10玉余が荒らされていた。アライグマはスイカに小さな穴を開け、手を突っ込んで中身をくりぬいて食べるといい、この時も痕跡が残っていた。
男性はすぐに人感センサーライト4台などを取り付け、ラジオ2台を一晩中つけっぱなしにして侵入を防いだ。すると、今度は別のハウスが被害に。箱わなに仕掛けた菓子パンや唐揚げには目もくれず「スイカにまっしぐら。味をしめたようで、1個ずつ皮をひっかいて食べごろを確認したらしく、若い実も次々ひっかかれていた」と悔しがった。
酒々井町でスイカを作っている40代の男性農家によると、去年は被害ゼロだったが、今年は5月までに15玉を食べられた。スイカは大きくするため1本の苗から1~2個しか作らない。「少しでも傷つくと売り物にならない。電気柵を設置するしかないが、この物価高で頭が痛い」とこぼした。
県によると、アライグマは北米などを原産地とし、手先が器用で雑食性、幅広い環境で生息できる。1977年に放映されたアニメの影響からペットとして全国に普及し、飼育放棄で野生化が進行した。生態系にも影響を及ぼすとして特定外来生物に指定されている。
県内では、90年代に県南で繁殖が確認されて以降生息域が拡大し、現在ではほぼ全県に分布する。2006年度に458万円だった農作物被害額は24年度は4652万円に増えた。近年は印旛地域で被害が急増している。
家屋や空き家に侵入し、すみ着く被害も増えている。県は生ゴミを畑に捨てない、家屋のすき間をなくすなど、対策を呼びかけている。【合田月美】
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