成年後見「終身制」を廃止 改正民法が成立、柔軟な制度に転換
認知症や知的障害などで判断能力が十分でない人らを支援する成年後見制度を見直す改正民法が17日、参院本会議で賛成多数により可決、成立した。一度利用を始めると判断能力が回復しない限りやめられない「終身制」を廃止し、ニーズに応じて支援の内容や期間を決める「オーダーメード型」に改める。2000年から始まった制度の転換点となる。
政府は単身高齢者が増えることを見据え、柔軟性のある制度に変えて利用者の増加につなげたい考え。法律の公布から2年半以内の施行を目指す。また、終身制は障害者の自己決定権の軽視だとして国連の障害者権利委員会から懸念が示されていた。採決では参政党とれいわ新選組が反対した。
改正の主な対象となるのは、家裁から選任された親族や弁護士らが財産管理や契約などの法律行為を支援する法定後見制度。利用者の判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」とあった3類型を、代理行為の範囲が最も限定的な「補助」に一本化する。
利用者が約18万人と全体の7割を占める「後見」は、財産に関する全ての法律行為の代理権が与えられている。例えば、遺産分割を目的に後見人を付けた場合、分割協議が解決しても利用者本人の判断能力が回復しなければ終了できず、報酬を支払い続ける必要があった。本人の意思が反映されづらく、使い勝手の悪さが指摘されていた。
改正法は、判断能力が不十分▽本人の同意▽制度利用の必要性――を「補助」の要件とし、必要な財産・法律行為について必要な期間、支援を受けられる仕組みにする。補助人は家裁が選び、選任時に利用者本人の意見を考慮することを条文で明確化した。後見や保佐を利用中の人は現行制度の継続も可能。新制度への移行を希望する場合、家裁に申し立てる必要がある。
本人が判断能力を常に欠く場合は、補助人が重要な財産行為を取り消せる仕組みを「特定補助」として例外的に残した。不動産取引や預金の払い出しなど11項目が対象で、家裁が必要性を判断する。
成年後見制度は、法定後見の他に判断能力がある段階で後見人を選任しておく任意後見がある。全体の利用者は25年末時点で約26万人にとどまっている。【岩本桜】
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