「痛いの痛いの飛んでいけー」に科学的根拠? 九大が神経特定

2026/07/15 18:34 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 九州大の研究グループは、痛みを抑える働きを持つ触覚神経を世界で初めて特定し、痛いところをさすると痛みが和らぐ身近な現象の神経メカニズムの一端を解明した。「痛いの痛いの飛んでいけー」と言いながら、痛いところをさするおまじないは、科学的に正しい可能性がある。将来的に、触覚刺激を利用して痛みを抑える新しい治療法や、医療機器の開発につながることが期待されるという。

 皮膚には、外からの刺激を感じ取る「感覚神経」が張り巡らされ、神経から出た信号は、背骨の中心を通る脊髄(せきずい)を通じて脳に届く。感覚神経には、触れられたことを伝える触覚神経や、痛みを伝える痛覚神経などさまざまな種類がある。けがをした時、痛いところに触れて、痛みを和らげようとする行動は人間以外の動物にも見られるが、痛みが緩和される詳しいメカニズムは分かっていなかった。

 研究チームは、皮膚に痛みを感じると、その場所をなめるマウスの行動を観察。ある特定の触覚神経を取り除き、足の裏に痛みを与えると、なめ続ける時間が通常の約5倍になった。

 一方、痛みを与えた際に、その触覚神経を刺激すると、なめ続ける時間は通常の半分近くに減った。その際、脊髄内を観察すると、痛覚神経から出る「痛み信号」を脳へ伝える神経の反応が低下していた。

 これらの結果から、痛み信号の伝わりが触覚神経から出る「触覚信号」で抑制され、脳で感じる痛みが和らぐことが分かった。

 今後は特定した触覚神経が人間にも存在するのか調べる。研究グループの津田誠主幹教授(神経薬理学)は「『おまじない』の安心感の効果なども研究したい」と意欲を示した。研究成果は米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載される予定。【田崎春菜】

毎日新聞

社会

社会一覧>

写真ニュース