高安「来場所も優勝目指す」 体調管理尽くし、自信得た春場所

2025/03/23 21:19 

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 ◇大相撲春場所千秋楽(23日・エディオンアリーナ大阪)

 ◇優勝決定戦 ●高安 送り出し 大の里○

 取材の受け答えも一段落し、技能賞の表彰式を待っていた東の支度部屋。高安は自身の前を通り、歓喜に沸く大の里の支援者から声を掛けられた。優勝決定戦に敗れた土俵上では表情を変えず、静かに現実を受け入れているかに見えていた。だが、その目には涙がたまり、付け人からタオルをもらって拭った。

 本割は過去6勝8敗と分が悪い阿炎が相手だった。2022年九州場所では1差をつけて臨んだ千秋楽で、本割と優勝決定戦で連敗し、賜杯をさらわれた苦い過去もある。

 だが、阿炎の立ち合いの変化にも動じず、左上手を取ってつかまえた。最後は体を開いての出し投げ。難敵を退けて地力は見せた。

 大の里の本割は支度部屋で待った。目を閉じ、その映像は一切見なかった。大一番では黒星。決定戦後の取材には「しょうがないですね。力負けしてしまった」と答えたが、やはり悔しさはあった。

 昨年は大関から転落した要因にもなった腰の痛みが尾を引き、結果が出なかった。今場所は違った。

 「体調がいいのが一番。それが自信につながってますね」

 医学的なトレーニングと治療を試み、今場所前の1週間は無理せずひたすら基礎運動を中心に調整したことが良かったという。

 千秋楽まで優勝の可能性を残したのは、今回で9度目だった。またも賜杯には届かなかった。ただ、35歳でも体調管理を尽くせば、まだまだ勝負できることを実感できた場所だった。「来場所も優勝を目指したいです」。悲願に向け、改めて高安は精進を誓った。【荻野公一】

毎日新聞

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