「低め見極め」 浦和実、徹底力が生んだビッグイニング センバツ

2025/03/25 21:10 

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 ◇選抜高校野球大会2回戦(25日、甲子園)

 ◇浦和実(埼玉)8―2東海大札幌(北海道)●

 鋭い打球が中堅手の脇を通過する。迷うことなく快足を飛ばした浦和実の4番・三島陽之介は三塁へ到達すると、控えめにガッツポーズ。徹底した球の見極めが結実した瞬間だった。

 1点リードの八回無死一、三塁で打席を迎えた三島は、「甘く入ったら一発で仕留める」と3球目の直球を思い切り振り抜き、貴重な追加点をもたらす2点三塁打とした。

 その後も連打やスクイズなどでつなぎ、一挙5得点。それまで打ちあぐねていた東海大札幌の「ダブルエース」の一人である右腕・高橋英汰に加えて、左腕・矢吹太寛(たお)も攻略した。

 浦和実は高橋の決め球であるフォーク、矢吹の勝負球のチェンジアップを警戒していた。それを攻略するため、辻川正彦監督は「とにかく低めの球を見極め、ベルト付近に来た球を打つ」ことを選手に指示した。

 四回から2番手で救援した高橋のフォークに手を焼いていたが、球のキレが落ちた八回は甘いボールを逃さなかった。東海大札幌は3番手の矢吹への継投も遅れ、後手に回るしかなかった。

 辻川監督は「(八回のビッグイニングは)複数安打が出たが、(バントヒットでつないだ)橋口(拓真)、(スクイズを成功させた)深谷(知希)の連続バントが、うちの点の取り方」と多彩かつ堅実な攻撃ができたことにも満足そうだった。

 春夏通じて初の甲子園で8強入り。三島は「好機にしっかり得点につなげられている」と自信をのぞかせ、「そうやって1点ずつ積み上げていきたい」と次を見据える。投打ががっちりかみ合う新鋭の快進撃が続いている。【磯貝映奈】

毎日新聞

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