フジの取材パス没収は独禁法違反疑い 公取委が日本野球機構を調査

2025/04/30 10:52 

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 2024年のプロ野球日本シリーズの中継と同じ時間帯に放送した「裏番組」などを理由にフジテレビから取材パスを没収したのは独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いがあるとして、公正取引委員会が日本野球機構(NPB)を調査していることが、関係者への取材で判明した。NPBに対し、行政指導などの措置を検討する。

 24年の日本シリーズは10月26日~11月3日に開催され、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手らが出場したワールドシリーズ(WS)と日程が重なっていた。WSを地上波で中継したフジテレビは、他局の日本シリーズ中継と同じ時間帯に、WSのダイジェスト版を放送した。

 こうした経緯についてNPBは「信頼関係が著しく毀損(きそん)された」などとして、フジテレビから日本シリーズの取材パスを一時的に没収。その後の野球日本代表「侍ジャパン」の強化試合についても取材パスを発行しなかった。

 関係者によると、取材パス没収という「制裁」は取材機会を奪うだけでなく、局側のコンテンツ選択や番組編成の制約につながる恐れがある。また、NPBが競争相手である米大リーグ機構(MLB)の取引を不当に妨害した恐れもある。

 日本国内では野球のコンテンツ的な価値が高いとされ、プロ野球12球団を統括し日本シリーズも主催するNPBとフジテレビの関係性から、独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」に該当する可能性についても、公取委は慎重に調べている模様だ。

 NPBは「現時点でのコメントは、差し控えさせていただきます」としている。【山田豊、牧野大輔】

毎日新聞

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