大谷翔平も実践? 「目標達成力」を育むコーチング 識者に聞く
今年も高校球児が甲子園を目指し白球を追う夏がやってくる。野球の普及に尽力し、指導者のコーチングの勉強会「野球まなびラボ」を主催する日本工業大の松井克典准教授(スポーツコーチング学)に、子どもたちがなりたい自分になるために必要な「自己調整力」や「目標達成力」の育み方を聞いた。【鷲頭彰子】
――コーチングとはどのようなものですか。
◆ティーチングは技術などを教えこむこと。コーチングは自分で決めて行動するために、何をやりたいのか、それをかなえるために何が必要なのか、どう実現させるのか――などを引き出し、コーチが選手を支援しながら目標となる場所に一緒に行くことです。未熟なうちはティーチングで、徐々に自分で考えてゴールまでたどり着くコーチングに移行するイメージになると思います。
ドジャースの大谷翔平選手が高校生のときに作成したマンダラチャートが話題になりましたが、これも現在の彼の成功に直結する「セルフコーチング」だと感じます。
――大谷選手のチャートには「ドラフト1位指名8球団」の達成のために、64項目の必要な行動目標が書かれていました。
◆彼のチャート図は「ドラフト1位」という目標に、体力・技術・精神力・人間性・運など多角的な要素を具体的行動に落とし込んだものです。野球技術のみならず「あいさつ」や「ゴミ拾い」など人間性を養う行動も含まれていた。これは大谷選手の高いプロ意識やチームとの良好な関係性、社会性の高さにつながっていると考えます。また、目標達成のために何が必要か可視化することで、自己理解と行動選択の質を高め、継続的なセルフコーチングを可能にしています。このチャート図は彼の「自己調整力」と「目標達成力」の土台となり、メジャーリーグでの「二刀流」という唯一無二の存在となる礎となったと考えられます。
――目標の可視化にどのような意味があるのですか。
◆抽象的な願望や夢を具体的な行動へと落とし込むための重要なステップです。可視化することで、自身が何を成し遂げたいか明確になり、日々の行動に一貫性と意味が生まれます。目標達成までのプロセスが段階的に整理され、行動計画を立てやすくなります。進捗(しんちょく)状況の確認や振り返りも容易になり、必要に応じた軌道修正を促します。指導者や他の選手との目標の共有も可能となり、周囲からの支援や協力を得やすくなります。
可視化は、目標達成に向けた内発的動機づけを引き出すために、実践的かつ心理的に有効な手法です。結果として、それは個人の成長と目標達成の確率を大きく高めることにつながります。
――野球部に呼ばれ、試合前などにメンタルリハーサルをやっているそうですね。
◆甲子園で優勝しない限り、チームは夏に必ず負けて終わります。負けたときにどういう気持ちになるのか、ピンチが来た時、選手や監督がどう思っているのか、事前に共有しておけば自分や仲間の感情に対して余裕を持って対処できます。
投手は「打たれたらどうしよう」、野手は「エラーしたら」、控えの選手は「どのような声かけをしたらいいのか」。1枚のシートにまとめてリハーサルします。ピンチになったときは考える暇もなく、すぐ次のプレーにいかなければいけません。負けたときの気持ちを考えておけば負けが怖くなくなり、普段通りのプレーで全力を出し切ることができます。
高校スポーツは、チームメートの意見を聞く「傾聴力」、負けても立ち直る力、他の選手の動きや感情を観察し行動する力――などを身をもって体感できる貴重な場です。なぜそのスポーツをしたいのか、それを通してどんな自分になりたいのか。大谷選手のように自分と向き合うノートを作ることで、大人になったときに必要な「考え抜く力」も付いてくると思います。球児には、悔いのない夏を過ごしてほしいですね。
◇まつい・かつのり
高校、大学、企業でプレーヤーとして野球を続けた。県立高や私立高の保健体育教師、スポーツ専門学校での講師、学童野球のコーチなどを経て2016年から日本工業大硬式野球部で助監督を務める。19年から准教授。日本体育・スポーツ・健康学会会員。県高校保健体育研究会理事など歴任。
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