“春の悔しさ”一打で晴らす 東洋大姫路3番打者の覚悟 夏の甲子園

2025/08/08 17:21 

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 ◇高校野球・夏の甲子園1回戦(8日)

 ◇○東洋大姫路(兵庫)5―3済美(愛媛)●

 バットを構え、小さく息をついた。目の前の一球に集中した。

 同点の七回1死二塁、東洋大姫路の3番・高畑知季(かずき)は絶好の勝ち越し機で打席を迎えた。

 不完全燃焼に終わった春の悔しさは、ここで晴らすしかない――。やや浮いた2球目の直球をフルスイングすると、左中間方向に飛ぶ決勝の二塁打となった。

 初戦の硬さもあり、それまで無安打だったが「良い流れで回してくれたので、自分が打つしかないなと」。続く4番打者の適時打で生還すると、表情が緩んだ。

 「(甲子園に)帰ってこられて良かった」。かみ締めるように語るのには理由がある。

 今春のセンバツ1回戦では中軸を担い、適時三塁打を含む2安打1打点と活躍して初戦突破に貢献した。

 だが、胃腸炎を患って2回戦はベンチから外れ、チームも敗れた。病院帰りにスマートフォンで試合を見ながら、悔しさと申し訳なさが募ったが、仲間からの励ましで前を向いた。

 167センチ、67キロと大柄ではないがパンチ力があり、新チーム発足以降の公式戦で「近畿無敗」の強力打線で中軸を担う。

 体全体を使った打撃を心掛け、兵庫大会では2本塁打にチームトップの13打点とけん引した。1番を担う主将の渡辺拓雲も「自分が塁に出れば、高畑が還してくれるという信頼感がある」と頼りにする。

 高畑は言う。「自分は打席でも応援歌を聞くタイプ。今日はすごく、みんなの声が大きかった」

 この夏は誰よりも甲子園を満喫してみせる。【下河辺果歩】

毎日新聞

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