遠軽、国宝の誇り胸に 「黒衣軍団」でいざ勝負 全国高校ラグビー

2025/12/27 08:15 

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 伝統の青から「国宝」の黒へとジャージーを一新した。第105回全国高校ラグビー大会(毎日新聞社など主催)の北北海道代表・遠軽は、遠軽町で出土した黒曜石がモチーフの新たなジャージーで大舞台に挑む。道内各地から集った選手たちは地域の熱心な応援を受け、遠軽の誇りを胸に戦う。

 遠軽町の「北海道白滝遺跡群出土品」は2023年、国宝に指定された。国内最大規模の黒曜石の産地として知られ、出土品には先のとがった尖頭器(せんとうき)などが含まれる。

 国宝を町のブランドとして生かそうとする一環で、ラグビー部のジャージーのデザインに活用する計画が浮上。今年から新調され、左胸には尖頭器をモチーフとしたロゴが入った。

 同校OBの石崎真悟監督(47)は「僕も青のジャージーで試合をしていたので以前のデザインも好きだった。でも、変更のいい機会かなと思った。ラグビーが広告塔になり、町や学校をアピールできたら」と語る。

 ラグビーで黒衣軍団と言えば、強豪の「オールブラックス」ことニュージーランド代表が有名だ。黒はグラウンドで力強さを強調する。司令塔のSO小玉晴大(3年)は「初めて見た時は新鮮で、見た目もかっこいいと思った。町や皆さんを代表してジャージーを着て、プレーで少しでも恩返しを」と誓う。

 今季のチームを石崎監督は「就任してから最もバランスがいいチーム。やりたいプレーが浸透してきている」と評する。

 フッカーで主将の上村寛大(同)、北北海道大会計3試合で10トライのNO8吉田琉希也(同)、小玉らハーフ団、最後方から攻守で支えるFB佐藤満輝(2年)と、要所に好選手がそろい、北北海道大会決勝も84―5で快勝した。

 強豪から学びを得ようと、11月には花園出場22回を誇る札幌山の手と合同練習し、セットプレーや実戦練習を重ねた。技術とともに、大きな相手にもひるまずに体を当てる精神を改めて学び、石崎監督は「花園(全国大会)でベストゲームを」と呼びかけた。

 町民らの寄付金もあり、全国大会開幕2週間前の12月12日から本州で合宿を始め、他校の胸を借りながら調整。1回戦の尾道(広島)戦に向けた準備を着々と進めてきた。

 狙うは、15年度の第95回大会以来の白星。帯広市出身で寮生活をする上村は「町にいると『ラグビー部? 頑張ってね』と声をかけてもらえることもある。全力でプレーし、期待に応えたい」と話した。【谷口拓未】

毎日新聞

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