スノボ・荻原大翔、「最後まであがいた」ビッグエア ミラノ五輪

2026/02/09 16:27 

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 小さな体が軽やかに宙を舞う。

 動画の中で技を操るのは9歳の少年だ。ゴーグルを外せば、ふっくらとした頰にあどけなさがのぞく。

 「スピンマスター」の異名を持つスノーボード男子の荻原大翔(ひろと)選手(20)=TOKIOインカラミ=が最初に注目を集めたのは11年前のことだ。若くして3回転ジャンプを成功させた映像がインターネットで話題になった。 

 ◇ジャンプは5歳から

 3歳でスノーボードを始めた。自宅がある茨城県牛久市から福島県のスキー場まで車で片道数時間。スノーボード好きの父に連れられ、毎週末のように通った。  ジャンプを飛ぶようになったのは5歳から。ただ、荻原選手自身に当時の記憶はないという。「知らないうちにジャンプして回っていた。それが当たり前の状態で育ってきた」  中学生でプロ資格を取得。現在は宮城県村田町の東北クエストを拠点に腕を磨く。  ミラノ・コルティナ冬季オリンピックで出場するビッグエアとスロープスタイルはジャンプ台から繰り出す技の完成度などを競う。新しい選手が次々と現れ、技の難易度も上がっている。しかし荻原選手は「みんなが進化していて楽しい」と語り、「楽しいことだから頑張れたし、楽しいことだからちょっと難しいことも苦戦しながらやれた」と屈託のない笑顔を見せる。

 ◇世界初の6回転半を達成

 2025年1月、米コロラド州。世界のトッププロが集まる招待大会の冬季Xゲームで世界初の6回転半を決め、初出場優勝を果たした。  着地した瞬間、頭が一瞬真っ白になった。盛り上がる観客が目に入り、自然と手が上がった。「今までスノーボードをしてきた中で一番うれしい瞬間だった」と振り返る。  6回転を最初に決めたのも荻原選手だ。そこから6回転半まで約3年かかった。「回転を増やすために必要な動作として、踏み切るときに腕を振る速さ、飛び出してから体を縮こまらせるスピードがある。できるだけ早く小さくなった方が速いので、そういうところはかなり意識している」と明かす。

 ◇大技で夢舞台へ

 ワールドカップ(W杯)で表彰台に立ったのは3回。いずれも金メダルを手にしてきた。「自分に足りていないのはメーク率(成功率)」としつつ、そのために技の難易度を抑えるつもりはない。「決めたときは勝てる。これがやっぱり自分の滑りのスタイル」と言い切る。  スロープスタイルが種目に加わった14年のソチ大会から五輪は憧れだった。  「取るなら金。1番はみんなに忘れられないから」と臨んだビッグエアは予選を1位で通過したが、決勝はまさかの最下位。だが、最後の3回目では着地に失敗したものの、6回転を超える大技に挑んだ。「自分はいつも100かゼロ。ゼロになってしまったけど、最後まであがいてやろうという気持ちでトライした」  16日からはスロープスタイルの予選が始まる。ビッグエアでの日本選手の金銀メダル獲得にも刺激を受けた様子で、「次は勝ちます。負けないです」と力強く語った。【ミラノ椋田佳代、リビーニョ山田豊】

毎日新聞

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