バットやコメ、土まで 大阪桐蔭も苦慮する物価高 センバツ

2026/03/24 07:00 

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 国民生活を悩ませる物価高の影響は、高校野球のチーム運営にも及んでいる。

 阪神甲子園球場で開催中の第98回選抜大会に出場している学校、さらには常連の強豪校も例外ではない。米国とイスラエル両軍によるイラン攻撃の影響を懸念する声も聞こえてくる。

 ◇「高くてきつい…」

 甲子園で春夏通算9回の優勝を誇る名門・大阪桐蔭は4月からの新年度、約10年ぶりに部費を値上げする。物価高により、バットやボール、さらには打撃マシンやネットなどの設備に至るまで、練習環境を維持するための費用が跳ね上がっているからだという。

 遠征費や宿泊費なども高値になり、甲子園出場の際に一般向けに募っている寄付に、より多くの人に参加してもらえればと、今回は寄付へのお礼の品としてレプリカユニホームを新たに加えた。5万円以上の寄付が対象になる。

 大阪桐蔭の有友茂史・野球部長は「これまでと同じようにやりたいが、それも難しくなってきている」と打ち明ける。

 物価高は、意外な品目にも及んでいる。グラウンドに入れる黒土だ。

 火山灰を含む黒土は産地が限られ、学校が遠く離れた場所から取り寄せているケースが珍しくない。大阪桐蔭も九州地方産の土を使っている。

 鹿児島県のある黒土販売業者は、値上げの要因を「とにかく輸送費」と話す。

 ガソリンなど燃料代に加え、人手不足によるドライバーの賃上げもあり、輸送費が上昇した。

 2月末から始まった米イスラエル両軍によるイラン攻撃で、ガソリン価格は不安定さに拍車がかかっている。この業者は「燃料代はまた上がるかもしれない。さらに値上げをしなくてはいけない可能性がある」と懸念する。

 グラウンド以外にも影響が及ぶ。

 選手寮がある学校は、維持管理にも頭を悩ませる。

 八戸学院光星(青森)は、2年ほど前から寮費を値上げした。仲井宗基監督は「親御さんに負担はかけたくない。野球道具は高いが必要なもの。寮費を(より)値上げしたいと学校から言われているが、極力我慢して耐えてほしいと協力をお願いしている」と漏らす。

 高川学園(山口)の西岡大輔・野球部長も「寮や補食で米を多く消費するので、米の値段が上がっているのはすごく感じるところ」という。

 資金面で余裕がないケースが多い公立校も苦しむ。

 21世紀枠で出場する長崎西の宗田将平監督は「バットの値段が高くなっているのがきつい。毎年数本買うだけで、生徒会の補助金が消えてしまう。モデルが古くて安いものを買ったりすることもある」と話した。

 日本高校野球連盟などが2023年度に発表した、加盟3818校を対象にした実態調査には、次のような結果がある。

 各校の監督に悩みがあることを尋ねた質問で、「施設や財政面」と答えた学校は全体の45・5%の1724校だった。これは18年度の調査時の41・6%から増えている。

 高校野球の普及・発展を目指す日本高野連の「高校野球200年構想」では、「選手第一を基本に、安全に長くプレーできる環境を作る」ことが目的に掲げられている。

 より良い環境作りと物価高との間で、現場の苦悩は続きそうだ。【吉川雄飛】

毎日新聞

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