韓国焼酎「チャミスル」 なぜ酒離れが進む日本で支持高く?
韓国の焼酎「チャミスル」が日本で市場を広げている。日本人好みに仕上げた商品の投入が奏功し、意外なことに酒離れが進んでいるとされる若者からの支持が高いという。9月にも新商品を発売するなど勢いづいている。
「チャミスル」は韓国国内の焼酎シェア65%以上を占める定番商品だ。日本では韓国酒造会社の日本法人「眞露(ジンロ)」が1999年に発売した。
「日本での市場が拡大したのは2020年ごろ」と同社広報は振り返る。日本でもファンの多い韓国ドラマに登場する「緑色の小瓶の酒」として知られるようになり、新型コロナウイルス禍の内食需要の高まりなどが追い風となった。同社が24年に実施したチャミスルの認知度調査では、20代の若者が80%超と高かった。若い女性をはじめとする幅広い世代の人に飲まれているという。
「チャミスル」はプレーンな味わいの「フレッシュ」のほか、日本で最も人気があるという「マスカット」など5種類の果物フレーバーがある。韓国では「フレッシュ」をよく冷やしてそのまま飲むのが一般的だが、日本では果物フレーバーのチャミスルを炭酸で割るなどアレンジして楽しむ人が多い。愛飲者がSNS(ネット交流サービス)で、「チャミスルマスカットの紅茶割り」を紹介して話題を呼んだこともあった。
日韓の好みの違いを反映して、日本向けに開発した商品もある。「チャミスルを飲んでみたいが、お酒が弱い自分でも飲めるか」という声を受け、22年に商品化したのが「チャミスルトクトク」。アルコール度数は5%で、果物フレーバーのチャミスルの13%よりも抑えた。炭酸割りを楽しむ日本人の飲み方に着想を得て、炭酸感と甘さを楽しめるように仕上げて、アルコールに弱い層の掘り起こしを狙った。「トクトク」は炭酸がはじける「シュワシュワ」を表す韓国語だ。
9月には瓶がトレードマークのチャミスルとしては初となる缶入りの新商品「チャミボール」(350ミリリットル入り、希望小売価格は税込み185円)を日本で発売。アルコール度数は7%で「甘くない」のが特徴だ。「お酒に対する評価ポイントが『甘い』から『甘くない』に変化してきた」(眞露広報担当)という20代中盤から30代がターゲットだ。10日から一部で先行販売を始め、X(ツイッター)では「チャミスルなのに甘くなくてスッキリしてて飲みやすい」などの投稿があった。【嶋田夕子】
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