日銀・植田総裁、利上げ続ける可能性示唆 打ち止めには「まだ距離」
日銀は24日の金融政策決定会合で、政策金利を現行の0・25%程度から0・5%程度に引き上げることを賛成多数で決めた。利上げ決定は2024年7月以来。政策金利は08年10月以来、約17年ぶりの高さとなる。政策委員9人のうち中村豊明審議委員は「企業の稼ぐ力が高まったことを確認した上で判断すべきだ」として利上げに反対した。
日銀は利上げ判断を巡り賃上げの定着を重視し、25年春季労使交渉(春闘)の動向を見極めていた。年明け以降、大企業トップから賃上げに前向きな発言が相次ぎ、日銀の調査で各地の企業に賃上げを続ける意識が浸透している点も確認された。植田和男総裁は会合後の記者会見で「昨年に続き、しっかりとした賃上げ実施が見込まれると判断した」と述べた。物価の上昇傾向が続く中で、トランプ米政権発足後の市場に大きな混乱も見られず、利上げの環境が整った。
日銀は今後も利上げを続ける方針で、次は年内に0・75%程度への引き上げが視野に入る。超低金利が長く続いた日本では、30年近く経験していない水準となる。次の利上げの時期やペースについて、植田氏は「予断を持っていない」と述べるにとどめた。利上げの打ち止めには「まだ相応の距離がある」として、複数回にわたって利上げを続ける可能性を示唆した。
政策金利が上昇すると、預金金利が連動して上がり、利息収入が増える一方、お金を借りる側は利払い負担が重くなる。今後、住宅ローン金利などに影響が及ぶとみられる。
また、日銀は24日、経済の中長期の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表した。25年度の消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率の見通しを前年度比2・4%とした。コメ価格の高止まりや円安による輸入価格の上振れを受け、前回見通し(24年10月)から0・5ポイントの大幅な引き上げとなった。26年度は2・0%で、前回から0・1ポイント上方修正した。【浅川大樹、山下貴史】
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