「稼ぐ力を再構築したい」 国債運用で巨額赤字の農林中金新理事長

2025/04/14 18:00 

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 1日付で就任した農林中央金庫の北林太郎理事長(54)が毎日新聞の取材に応じた。2025年3月期連結決算が巨額赤字に陥る見通しになり、奥和登前理事長が3月末で引責辞任したことを受け、北林氏は「一丁目一番地に稼ぐ力の再構築に取り組みたい」と述べた。

 北林氏は巨額赤字の理由について「欧米を中心とした金利上昇に経営として対処する判断が遅れた」と話し、国債の運用に失敗したとした。長期にわたる低金利の下で、財務戦略と投資執行の部門が一緒に対応方針を決めていたとし、「財務と投資執行で(意思決定に対する)けん制が弱くなっていた」と振り返った。

 この反省から昨年12月、財務運営の独立性を強める「財務戦略委員会」を設置。「月1~2回、委員会を開き、財政運営の議論をしている」と話した。具体的には投資部門の収益性などの検証をしているという。

 運用の失敗を受け、農林水産省の有識者会議が今年1月、資産運用の方針を決める理事会に外部の有識者が参加できるようにする農林中金法の改正を提言した。提言を踏まえ、同委員会に「外部識者の複数起用を検討している」とした。

 26年3月期の業績は、米国や欧州の国債売却などで、最終(当期)損益は300億~700億円の黒字を見込む。

 トランプ米大統領の追加関税が及ぼす国内の農林水産業への影響について「全社を挙げて取引先にどういう影響が出そうか情報収集をしている」とし、その結果を踏まえ、対策を考える意向を示した。今後の投資先については「分散し、特定のリスクに集中しないように多様化したい」と述べた。【中津川甫】

毎日新聞

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