四国電力、原発トラブルの研修施設を開設 伊方の教訓継承へ

2025/06/01 15:34 

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 四国電力は、伊方原発(愛媛県伊方町)で発生したトラブルから教訓が学べる社員向けの研修スペース「トラブルからの学び舎(や)」を原子力保安研修所(松山市)内に新設し、5月30日に報道陣に公開した。6月9日から運用する。

 かつて経験した教訓を次世代に継承することで、従業員の技術力向上を図ることが目的だ。研修スペースでは、過去に起きた代表的なトラブル計15事象についてパネルや動画で取り上げている。

 1999年11月に発生した3号機の非常用ディーゼル発電機点検中の不具合の事象については、状況と概要、調査結果をパネルで紹介。原因や対策については、ただ伝えるだけではなく、社員自らが考えるよう展示方法も工夫されている。同事案発生後の通報の遅れも事象の一つとして取り上げ、原発の安全な運転に向け、社員の意識向上を図っている。

 伊方原発は1、2号機が廃炉作業中で、運転を継続しているのは3号機のみだが、原発の運転を巡る技術力やノウハウを若い社員にどう伝えていくかが四電の重要な経営課題となっている。同社原子力本部の川西德幸本部長は「先人たちが遭遇したトラブルを基に、自分だったらどう対処するかを考える場にしてほしい」と語った。

 原子力保安研修所は、事前に申し込みをした団体に限り見学を受け付ける。詳細は同所のホームページから。【田中祐子】

毎日新聞

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