消えかけた「はなくそ一発」復活 「浦安鉄筋家族」モデルの駄菓子屋

2025/08/13 16:53 

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 千葉県浦安市内のある駄菓子屋でこの夏、軒先のテントから消えかかっていた文字が復活した。

 「はなくそ一発」

 インパクトのある白いペンキ塗りの文字に通行人が目を留める。

 実はここ、人気ギャグ漫画「浦安鉄筋家族」に登場する駄菓子屋のモデルとなった店だ。

 浦安鉄筋家族は、漫画家の浜岡賢次さんが1993年から週刊少年チャンピオンでタイトルを変えながら連載している(現在は「あっぱれ!浦安鉄筋家族」)。浦安市を舞台に主人公の少年、大沢木小鉄が家族や地域の人を巻き込んで大騒ぎする物語で、小鉄は駄菓子屋「はなくそ一発」に足しげく通う。

 そのモデルとなった「重兵衛商店」は、東京メトロ東西線浦安駅の南側にある。店主・内田朋子さん(82)の母が1946年に始めた駄菓子屋だ。かつてはにぎやかな商店街や銭湯が近くにあり、牛乳やラムネなどを飲む風呂上がりの親子で深夜までにぎわった。

 2020年に浦安鉄筋家族がテレビ東京でドラマ化。重兵衛商店で撮影があり、漫画に合わせて「はなくそ一発」の白い文字が緑色のテントに描かれた。撮影終了後も、記念写真を撮る人が多いのでそのままにした。

 雨風にさらされ、文字は次第に薄くなった。塗り直すにはお金がかかる。どうしようか迷っていたところ、常連客に紹介してもらったペンキ屋が格安の値段で引き受けてくれた。

 重兵衛商店は来年で創業80年を迎える。内田さんは「漫画を見て遠くから来てくれる人もいるし、地元の幼稚園や小学校の遠足で100円玉を握って買い物をしてくれる子どもたちもいる。いろんなお客さんがいて楽しいですよ。やめられないですね」と話している。【石塚孝志】

毎日新聞

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