神戸空港国際便が好調 訪日客の市内宿泊増に寄与 中国便には懸念
神戸空港で4月18日に就航した国際チャーター便の利用客が10月までで31万人を超えた。ソウル、南京、上海、台北、台中の5路線が開設されているが、期間限定でベトナム間でも運航された。神戸市内でのインバウンド(訪日客)の宿泊増加にも寄与しているという。一方で、日中関係が冷え込む中で中国の一部の便が運休するなど、懸念材料もある。
◇宿泊者数、過去最高見込み
神戸空港では毎日2往復のソウル便を筆頭に、5路線で週42便のチャーター便が運航されている。他にも4、5月のゴールデンウイーク期間中にはベトナム便が2日間運航した。
国際線利用者は市内のホテルにも好影響を与えているようだ。観光施策に取り組む官民組織「神戸観光局」が5~7月にチャーター便が発着する空港の第2ターミナルで出国するインバウンドにアンケート(有効回答数499人)したところ、7割が市内に宿泊していた。
観光局の推計では市内のインバウンドの延べ宿泊者数は1~8月で84万人超。2025年通年では100万人を超え、過去最高になる見込みだ。
月別でみると中国の春節(旧正月)の効果があった1月は前年同月比68%増となった後は、2~3月は同2~3割増で推移。だが、空港が国際化した4~6月の3カ月間の平均は同45%増に上向いた。全国的に訪日客は増加していることもあるが、観光局は「神戸空港国際化の寄与も大きい」と分析している。
◇中国便運休「早期再開に期待」
懸念材料は日中関係の冷え込みだ。高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁に反発した中国政府は11月14日に日本への渡航自粛を呼びかけた。その1週間後の同21日、神戸-南京線について、運行する航空会社が同29日から26年3月28日まで運休すると市に通知した。
久元喜造市長は同25日の記者会見で「運休についての理由は知らされていないので意図はわからない。できるだけ早く再開することを期待したい」と話した。市によると、上海便は運航しており、9月28日から1日1往復する予定だった北京便については、機材繰りによる運航計画の変更のため延期され、運航に向けて調整中という。
観光局によると神戸に宿泊するインバウンドのうち中国からは3~4割とみられる。団体客ではキャンセルがちらほらあるが、9割を占める個人客の動向はつかめておらず、担当者は「まだ影響を見極められる時期ではない」と話している。【山田麻未、井上元宏】
◇万博効果はそれなり
神戸観光局が5~7月に神戸空港を出国するインバウンドを対象に実施したアンケート(有効回答数499人)で、大阪・関西万博に立ち寄ったと回答したのは17%だった。
毎週往復便がある3カ国・地域で万博に行ったという回答が最も多かったのは台湾で29%。回答者のうち35%が団体旅行で、万博などを行程に盛り込んだツアーがあったとみられる。空港利用にも万博はそれなりの効果があったといえそうだ。
ただ、団体旅行で行程が決まっていることもあり、神戸での宿泊率は他の2カ国よりも低く、大阪での宿泊率が高かった。万博に立ち寄ったとの回答は中国は15%で韓国は7%。両国は個人旅行の割合が9割前後となっていた。
また、神戸の魅力についてのアンケート結果では3カ国・地域とも神戸ビーフがトップで4~5割を占めた。2位は中国と韓国が「海や港町の風景」、台湾が「ショッピング」だった。
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