ゼレンスキー氏が大統領選実施に言及 米要請で転換、出馬には触れず

2025/12/10 10:39 

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 ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、戒厳令下で延期されている大統領選について、米国や欧州による安全確保の協力が得られれば「60~90日以内」に実施可能だと表明した。これまでは完全な停戦が実現した後に実施する考えを示していた。

 和平交渉を主導する米国が選挙を要求しており、方針を転換した格好だ。ただ、自身の出馬に関しては言及しなかった。

 ウクライナでは、法律で戒厳令下での選挙は禁じられている。ゼレンスキー氏は、選挙を実施するための法整備を最高会議(国会)に求めることを明らかにした。

 2019年に就任したゼレンスキー氏は昨年5月に任期が切れた後も、職にとどまっている。ロシアのプーチン大統領は「(政権は)正当な地位を失っている」と批判していた。

 トランプ米大統領は、9日に公開された米政治専門メディア「ポリティコ」のインタビューで、ウクライナの大統領選を念頭に「選挙を行う重要な時期だと思う。彼らは選挙をしないために戦争を利用している」と主張。「彼らは民主主義について語るが、もはや民主主義ではない段階に来ている」と主張した。

 ただ、選挙の実施は困難を極める。ロイター通信などによると、前線に約100万人の兵士がいるほか、約560万人は国外に避難。ロシア占領地に住む市民も多く、どのように投票機会を確保するかは見通せない。

 一方、ゼレンスキー氏は9日、20項目からなる和平案の修正版のほか、「安全の保証」やウクライナの復興を巡る2文書を作成し、「米国や欧州と議論している」と明らかにした。

 このうち「安全の保証」を特に重視しており、「(欧州の)有志国連合と米国による効果的な保証」を求めているとした。米国からは「現実的な」内容にしたいと求められているという。【ベルリン五十嵐朋子】

毎日新聞

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