裁量労働制の見直し、方向性示さず 労働市場改革分科会
高市早苗政権の経済政策を議論する日本成長戦略会議の労働市場改革分科会は27日、首相が掲げる労働時間規制の緩和を巡る議論を取りまとめた。前提として「時間外労働の上限規制は過労死認定ラインであり、維持する」と明記。首相が検討を指示した「裁量労働制」や「変形労働時間制」の見直しについては、夏以降に厚生労働相の諮問機関・労働政策審議会(労政審)で議論を行うとし、具体的な方向性は示されなかった。
分科会は労使の代表や有識者で構成し、労政審とは別途、労働移動の促進や、柔軟で多様な働き方などについて議論してきた。
取りまとめでは、裁量労働制について「適正に運用されれば労働者にとっても良い制度」としつつ、「長時間労働になりやすく、裁量や適切な処遇が確保されない実態がある」とも指摘。こうした実態の防止を前提に「見直しを検討する」との表現にとどめた。
変形労働時間制については、災害対応などに十分即していない現場の実態などを踏まえ、検討を進める必要があるとした。
裁量労働制や変形労働時間制の見直しを巡っては、経団連や日本商工会議所が対象拡大や要件緩和を要望し、高市首相が上野賢一郎厚労相に検討の加速を指示していた。ただ、労働組合団体や過労死遺族らは強く反発しており、労使の溝は埋まっていないのが実情で、今後の議論は労政審に委ねた格好だ。
他にも「戦略的なリスキリング(学び直し)の推進」として、人工知能(AI)や半導体、防衛産業など政権が掲げる「戦略17分野」や建設や医療・介護などの社会インフラ関連分野での人材育成を強化する方針も示した。17分野に関しては、関係省庁が業界団体や大学などと連携し、労働者に求められるスキルの基準を作る。併せて教育訓練プログラムも開発していくとした。
分科会の取りまとめは政府が今夏にまとめる新たな成長戦略に反映させる。【宇多川はるか】
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