命の“終わり”を告げる鳥と母娘ふたりの奇想天外にして心温まる物語、A24作品『終わりの鳥』…

2025/02/02 06:00 

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映画『終わりの鳥』(4月4日公開)(C)DEATH ON A TUESDAYLLC/THE BRITISH FILM INSTITUTE/BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2024

 米国の製作・配給スタジオ「A24」作品、昨年北米公開され話題となった『TUESDAY(原題)』が、『終わりの鳥』の邦題で4月4日より東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開される(配給:ハピネットファントム・スタジオ)。

【動画】映画『終わりの鳥』予告編

 ある日、余命わずかな15歳の少女・チューズデーの前に<デス(DEATH)>という名のしゃべって歌う奇妙な鳥が舞い降りた――地球を周回して生きものの“終わり”を告げる鳥<デス>と、その鳥と寄り添う病気の少女。かたや一心不乱に鳥と闘う少女の母親。世にも奇妙な<デス>と突如対峙することによって、母娘ふたりは間もなく訪れるであろう別れを次第に受け止めてゆく。

 次世代を牽引する新たな才能を発掘してきたA24のもと、長編監督デビューを飾ったのはクロアチア出身のダイナ・O・プスィッチ。タバコをくゆらせ、ラップのリズムを刻むチャーミングなキャラクターを造形する一方で、“死”という観念を奇想天外に視覚化、その苦悩にも触れるなど奥行きのあるストーリーに仕立てた。

 繊細でウィットに富んだチューズデー役には、『恋人はアンバー』のローラ・ペティクルー。シリアスとコミカルを横断する絶妙なバランスで母親・ゾラを演じたのは、エミー賞常連のテレビシリーズ『VEEP/ヴィープ』で知られる、コメディエンヌのジュリア・ルイス=ドレイファス。

 予告編は、冒頭から不穏な音楽が流れるなか、大空を飛んでいる鳥が映し出される。その名前が<デス>であり、命あるものの“終わり”を告げる彼の役割が説明される。まだあどけなさの残るチューズデーだが、鼻のチューブと車いす姿から病気を抱えているようだ。彼女の母親であるゾラは<デス>を捕まえようと必死に立ち向かうが、彼は手のひらサイズになったり、急に大きくなったり、変幻自在。挙句の果てにはゾラまでも姿かたちが変貌していき……。<デス>の威厳のある声で「誰も避けられない、“私”を」というせりふで締めくくられる。

 エンドシーンには器用にタバコをふかす<デス>の様子が収められており、彼のチャーミングなキャラクターも垣間見える映像となっている。世にも奇妙な鳥と突如対峙することになった母娘の物語は、命あるものすべてが迎える“死”を描きながらも、今ここにある“生”をヴィヴィッドに照らし出す。


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