當真あみ&中島セナが主演、柚木麻子のデビュー作『終点のあの子』映画化 上海国際映画祭での上…

2025/06/03 18:29 

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映画『終点のあの子』(2026年公開)海外版ポスタービジュアル (C)2025「終点のあの子」製作委員会

この度、ゆらぎやすい女子高生の友情と複雑な心情を描き、その繊細な心理描写が各メディアで絶賛された柚木麻子のデビュー作、「終点のあの子」(文春文庫)が映画化され、2026年に劇場公開する運びとなりました。

 作家・柚木麻子のデビュー作『終点のあの子』(文春文庫)が映画化され、2026年に全国劇場で公開されることが明らかになった。主人公・希代子役には、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)や映画『おいしくて泣くとき』などで注目を集める當真あみ。希代子が心をひかれるミステリアスな朱里役には、『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』(ディズニープラス)で主演を務めた中島セナが起用された。

【画像】映画『終点のあの子』場面写真

 原作は、08年に第88回オール讀物新人賞を受賞した短編「フォーゲットミー、ノットブルー」を第1話とする全4編の連作集。私立女子高校を舞台に、思春期の少女たちの複雑な友情と成長を描いた物語で、各メディアでも高く評価されている。映画では、第1話「フォーゲットミー、ノットブルー」を中心に描く。

 入学式の日、中学からの内部生・希代子は、高校から入学した外部生の朱里と出会う。海外暮らしが長い彼女の父は有名なカメラマンだった。希代子は風変わりな朱里が気になって仕方がないが、一緒にお昼を食べる仲になった矢先、ある変化が訪れる。

 當真は、希代子の「今とは違う場所に行きたい」という内なる葛藤を、まっすぐな眼差しで体現。一方の中島は、自由奔放でほかのクラスメイトとは異なる、知的で大人びた風格と孤高さをまとった朱里のキャラクターを見事に演じている。

 共演は、クラスメイトの奈津子役に平澤宏々路、リーダー格の美少女・恭子役に南琴奈が名を連ねる。

 監督は、『好きでもないくせに』(16年)、『Sexual Drive』(21年/ロッテルダム国際映画祭出品)など、女性を主体的に描いてきた吉田浩太。今作が初の文学原作作品への挑戦となる。

 なお、本作は今月13日より開催される「第27回上海国際映画祭」GALA部門でのワールドプレミア上映が決定。国際的な舞台での評価にも注目が集まる。

 あわせて映画の場面写真および海外向けビジュアルが解禁されており、スチール撮影は、連続テレビ小説『おちょやん』やNetflix『First Love 初恋』などを手がけた写真家・濱田英明が担当。繊細で叙情的な世界観を表現している。

■吉田浩太監督のコメント

 今から10年以上前に柚木麻子先生の小説『終点のあの子』を読みました。自分は男性かつ既に思春期は過ぎてしまいましたが、女子高校生である登場人物たちの行動や気持ちに痛いほど共感したことを覚えています。小説で描かれる若者特有の感情はとても普遍的であり、その普遍さによって自分の心は強く動かされ、すぐに映画にしてみたい衝動に駆られました。

 原作として向き合い続けた故、映画化へのプロセスはとても長いものになりましたが、當真あみさん、中島セナさんという今の時代を象徴とする若く素晴らしい感受性に満ちた2人に主役を演じてもらえたことで、この小説が持つ瑞々しい普遍的な『終点のあの子』の世界を映像化することが出来たと思っております。

 映画『終点のあの子』は、初めて小説を読んでから10年以上経て念願かなって映画にすることが出来た、自分にとって奇跡のような映画です。この度、上海国際映画祭でワールドプレミア上映ができることを大変光栄に思っております。

■希代子役:當真あみのコメント

 最初に原作を読んだ時、どの子の立場でも気持ちや行動に共感出来るなと感じました。些細なことで一喜一憂し、傷ついたり、誰かに憧れ、妬ましく思ったり、新しい出会いと価値観に触れ変わっていく姿に、共感出来る部分がたくさんありました。

 私が演じた希代子は、常に周りに合わせながら生きていて、友達といる時も、母といる時も自分の意見を言わない女の子でした。監督からはできるだけ自然体で、普段の當真さんでいてほしいとお話を受け、できるだけ感じたままにお芝居できるよう意識しました。

 今回、上海国際映画祭に参加させていただける事になりました。私自身、映画祭への参加は初めてで、この作品で参加できることへの喜びでいっぱいです。

 この作品は、見てくださる方が、登場人物誰かに必ず共感出来るような作品だと思います。今学生の方も大人になった皆さんにも見ていただけるとうれしいです。

■朱里役:中島セナのコメント

 撮影からもう1年が経っていることに驚きます。
 現場で同級生役の皆が撮影の合間にも楽しそうに踊ったり笑い合っている姿は、本当に学校にいると錯覚してしまうほどでした。
 映画では、高校生の自尊心の行方がそれぞれ描かれていると思います。そして私は、朱里に通ずる傲慢さのようなものを持っている1人だと改めて自覚させられました。
 彼女たちが友達の中に映し、狂ったように確かめ合っていたのは、脆い自分自身を見るためだったのかと思うのです。

■奈津子役:平澤宏々路のコメント

 『終点のあの子』はそれぞれのキャラクターがもつ憧れとコンプレックスが入り交じって、思春期ならではの儚さと脆さと怖さがある作品だと思いました。初めて台本を読んだ時は作品のもつ空気感に惹き込まれて、読み終わってからも何日間か余韻が抜けませんでした。

 自分と同じ女子高校生たちの話ということもあり、撮影中に言葉がつまる時や休憩中に涙が出てくる時があるほどシーンの状況に強く共感したり、せりふが深く突き刺さったりしました。

 私が演じた奈津子は、ある意味すごく共感できるキャラクターになっているのかなと思います。学校という小さいのにとても広い世界の中で、自分が存在する意味や自分の立ち位置について悩み、必死にもがく女子高生達の姿をぜひ劇場で観ていただけたらうれしいです。

■恭子役:南琴奈のコメント

 原作を読ませていただいて、恭子の不器用で人間味のあるキャラクターがかわいらしくて、切なくて、私は大好きだったので演じることができてとてもうれしかったです。見た目だけでは分からない心の内や葛藤が彼女にはたくさんあって、自分とは違うようでいてどこか重なる部分も感じながら演じさせていただきました。

 撮影中は、私自身も高校生だったこともあり、恭子たちの空気をリアルに感じながら、同年代のキャストのみなさんと実際の学校のように楽しく撮影ができたので、その空気感やリアリティが映像にも映し出されているのではないかなと思います。純粋であるがゆえに、少し残酷で、それでいて美しい彼女達の世界をたくさんの方に観ていただきたいなと思います。

■企画・プロデューサー:前信介のコメント

 当時、多くの企画を模索している中で、吉田監督から突然のDMが届き、『終点のあの子』を読んだのは2016年の暮れでした。読み手の価値観やこれまでの環境・経験によっても受け取り方が七変化するであろうということに魅力を感じ、企画開発をスタートしました。企画成立までは紆余曲折が何度もあり、さらにコロナ禍の影響で頓挫しかけました。しかし世の中が様変わりし変化した中でも、この作品は普遍的で強度があると確信することになったのです。

 一方で「希代子役が見つからない限りは撮らない」と決めていました。朱里役は中島セナさんのイメージが強くあったのですが、希代子役は難航していました。この先10年待っても現れないのでは?と諦めかけた時に現れたのが當真あみさんという逸材でした。何とも形容し難い「特別な存在」でした。企画は大きく前進することになりました。

 この主演お二人に加え、オーディションで勝ち取った奈津子役・平澤宏々路さんは劇中でも異彩を放っています。恭子役はお会いしてその場で異例の即決(満場一致)となった南琴奈さん。開発から約9年を経ての公開となり、精魂込めて作品を送り出します。
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