大手出版社が刊行ためらった「発売禁止」の小説が“復刊” 樋口毅宏氏『中野正彦の昭和九十二年…

2025/10/20 15:41 

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樋口毅宏氏『中野正彦の昭和九十二年 新版』発売へ

 作家・樋口毅宏氏による書籍『中野正彦の昭和九十二年 新版』が、22日に清談社Publicoから刊行される。同書をめぐっては、2022年12月にイースト・プレスから刊行予定だったものの、発売直前に回収を決定していた。

【画像】フリマサイトで高額取引も…大手出版社が刊行ためらった「発売禁止」の小説

 清談社のサイトでは、同書について「フリマサイトで超高額取引された「発売禁止」の書、奇跡の復刊!安倍晋三元首相暗殺を予言した小説「本当の本音を言うと、みんな戦争がやりたいのだ」。安倍晋三元首相を「お父様」と慕う中野正彦--。過激で偏った思想を持った革命家気取りのテロリストが、一発逆転、国家転覆を目論む。「水道橋博士のメルマ旬報」連載時から物議を醸し、大手出版社が刊行を躊躇った未完の小説が、大幅加筆のうえ完成」と伝えられている。

 イースト・プレスは2023年1月、公式サイトで「本書は、2022年12月16日に回収を決定し、12月18日に概要を自社HPにて掲載いたしましたが、それぞれの対応決定につきましては、弊社判断で行い、樋口氏に事前に報告や確認をしておりませんでした。自社HPでの掲載内容では、説明が足りない面が多く、さまざまな憶測が発生し、樋口氏に多大なるご迷惑をお掛けしましたことを改めてお詫び申し上げます」と説明。

 続けて「回収決定に至りました理由は、本書について差別思想に基づくもの、またはこれを助長するというような判断をしたものではございません。また、刊行前に弊社の社員が個人のTwitter上で樋口氏及び本書への言及がありましたが、それは回収の要因ではなく、よって樋口氏に何ら責任がないことは明白です。このような経緯から本書刊行について炎上商法を行っているかのような印象を与えたことはきわめて遺憾であり、重ねて深くお詫びさせていただきます」としていた。

 樋口氏は1971年、東京都生まれ。出版社に勤務したのち、2009年『さらば雑司ヶ谷』(新潮社)で小説家デビューを果たした。2011年『民宿雪国』(祥伝社)が山本周五郎賞と山田風太郎賞の候補作となった。著書に『日本のセックス』(双葉社)、『テロルのすべて』(徳間書店)、『二十五の瞳』(文藝春秋)、『タモリ論』(新潮新書)、『ドルフィン・ソングを救え!』(マガジンハウス)、『無法の世界』(KADOKAWA)、『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)などがある。
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