韓国大統領を失職させる弾劾手続きとは? 2016年には朴槿恵氏も

2024/12/04 16:38 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が3日夜に非常戒厳令を宣布したことで混乱が広がる中、最大野党の「共に民主党」など野党6党は4日午後、弾劾訴追案を国会に提出した。韓国では過去に一度、大統領が弾劾訴追され、その後失職した。大統領を失職に追い込む弾劾手続きとはどのようなものなのか。

 韓国では大統領が内乱などの罪を犯した場合を除き、在職中は逮捕されることはない。ただし、国会が「大統領にふさわしくない」と考えた場合、辞めさせる制度が弾劾だ。在籍議員(定数300)の過半数の同意で訴追案が発議され、3分の2以上が賛成すれば可決される。

 可決した場合、大統領は即座に職務停止となり、憲法裁判所が罷免の是非を判断する。審理期間は最大6カ月。裁判官9人のうち6人以上が罷免に賛成すれば大統領は失職し、60日以内に大統領選が行われる。

 韓国では2016年、親友による国政介入は違憲だとして朴槿恵(パククネ)大統領(当時)が弾劾され、その後罷免されて失職した。当時、弾劾訴追案は8割近い議員の賛成で可決され、憲法裁の裁判官8人(定員9、1人欠員)の全員が罷免に賛成した。

 朴氏以外では、04年に盧武鉉(ノムヒョン)元大統領が側近の不正政治資金問題などで弾劾訴追された。しかし、憲法裁は「弾劾するほど重大な職務違反はない」として罷免を認めず、職務停止されていた盧氏は大統領に復帰した。【松本紫帆】

毎日新聞

国際

国際一覧>