LA山火事 消防予算削減などの「人的ミス」批判 トランプ氏も口撃

2025/01/12 10:27 

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 米西部カリフォルニア州ロサンゼルス一帯で7日から続く山火事で、地元自治体の防災態勢を疑問視する見方が浮上している。消防用水の不足や避難警報の誤送信などが相次ぎ、「人的ミス」が混乱に拍車をかけたとの批判がある。カリフォルニア州はリベラル派が多く、民主党の牙城の一つだ。共和党のトランプ次期大統領は、州や自治体の対応を批判し、政治問題化しようとしている。

 CNNによると、特に火災が激しかった西部の高級住宅街パシフィックパリセーズ地区では、発火初日の7日夜から消火栓の水圧不足の報告が相次ぎ、火勢が増す中で消火作業に支障が出た。約380万リットルをためる貯水タンク3基から給水していたが、通常の4倍近い需要が半日以上続き、水圧不足によって8日時点では消火栓の約2割からは給水できない状況だった。

 また、近くにある予備タンクが修理中だったことも消火作業の遅れにつながった。今回は異例の大規模な山火事で、事前に万全の備えをするのは難しかったとの見方もあるが、ニューサム州知事は消防用水を巡る問題について独立機関による調査を行うと表明した。

 一方、現地では9~10日、ロサンゼルス郡の消防当局から周辺の約1000万人近くの携帯電話へ避難を促すメッセージが2度届いた。実際に避難が必要だったのは約18万人だったが、住民の間にはパニックが広がった。誤送信だったとされ、郡当局は「住民への重大な背信行為だった」と謝罪した。メッセージ送信の委託先企業が原因を調査している。

 ロサンゼルス市が昨年に消防予算を削減していたことも波紋を広げている。消防当局は消火作業を続ける中で予算削減を公に批判した。バス市長が火災発生時、アフリカ・ガーナの大統領就任式に出席するために不在だったことも一部で批判されている。バス氏は8日に戻ったが、「訪問を切り上げて早期に帰国すべきだった」との声もある。

 トランプ氏は9日、自身のソーシャルメディアで「ニューサムとバスはひどく無能だ」「知事はすぐに辞任すべきだ」と書き込むなど、民主党系の地元首長への非難を強めている。【ワシントン秋山信一】

毎日新聞

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