韓国大統領公邸の周辺に鉄条網 警護庁内部には「動揺」の報道も

2025/01/12 17:16 

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 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣布を巡り、尹氏の弁護団は12日、憲法裁判所で14日に開かれる予定の弾劾審理の初弁論に尹氏は出席しないと明らかにした。聯合ニュースが伝えた。憲法裁は、国会による弾劾訴追を受けて尹氏の罷免の是非を判断する。

 高官犯罪捜査庁(高捜庁)や警察などで構成する合同捜査本部は、内乱などの容疑で尹氏の逮捕状を取っている。高捜庁は3日に尹氏を逮捕しようとしたが、大統領警護庁が阻止した。捜査本部は再び尹氏の逮捕を試みる方針。

 弁護団の尹甲根(ユンガプクン)弁護士は12日、捜査本部が「不法で無効な逮捕状を違法な方法で執行しようとしている」と批判。尹氏が出廷すれば「身の安全が懸念される」と主張した。捜査本部が出廷の機会を捉えて尹氏を逮捕する事態などを懸念している模様だ。14日の弁論には弁護団が出席するとみられる。

 尹弁護士は「出席するには警護や身の安全の問題などが優先的に解決されなければならない。解決されれば(尹氏は)いつでも出席する予定だ」とも述べた。憲法裁では14日から2月4日まで計5回の弁論を開く予定。

 一方、捜査本部は尹氏の逮捕に向け、慎重に計画を立案している。聯合ニュースは12日、警護庁長の代行を務めるキム・ソンフン同庁次長を警察が逮捕する方針だと伝えた。警察は、3日の逮捕状執行を妨害したとして特殊公務執行妨害などの容疑でキム氏に3度にわたり出頭を要請したが、キム氏は応じていない。

 警察は、出頭要請に応じた朴鍾俊(パクジョンジュン)前警護庁長とイ・ジンハ警備安全本部長に事情聴取した。捜査本部は、警護庁の体制を弱体化させたうえで尹氏の逮捕を試みるとみられる。

 大統領公邸では、周辺に鉄条網を張り巡らせるなどしている。キム氏は強硬派とされ、警護庁は断固として尹氏の逮捕阻止を図る方針とみられる。一方で聯合ニュースは、警察の見方として、警護庁内部に動揺が起きていると伝えた。【ソウル福岡静哉】

毎日新聞

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